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もしも今回のことが発覚した場合、自分の罪はどのくらいのものだろうと考えた。
シャムは図書館に行き、罰則に関する資料を読み漁った。
そこで分かったことは、
ゲートを開けっ放しにしただけで、最低でも五年間の投獄となる。
一匹きりの独房で、分厚い広辞苑をひたすら読むという苦行を強いられる。
人間の言葉の書物を読まされることが、猫にとってどれだけ苦痛か。
それを五年か・・・・・・
それに加え、本人の反省態度や被害状況、ゲートが開いていた時間などを吟味して、さらに刑は重くなる。
胃がジンジンと痛みだした。
シャムは力なく本を閉じ棚に戻すと、図書館を出た。
まさに猫背になった丸まった背中で、王国へ向かう。
レンガ作りの猫王国のお城。
赤い絨毯の先には、ふかふかの椅子に鷹揚と座る王様猫、アシュラがいた。
王のマント、冠を身につけ、この猫タウンの主としての風格を漂わせている。
「おう、シャム。おかえり」
アシュラは長いヒゲを前足で撫でている。
「ただいま帰りました」
シャムはひざまずく。
「ゲートチェッカーの仕事は順調か」
うっ・・・・・・シャムは王様のサファイア色の瞳に震えた。
どうしよう。今ここで正直に白状した方がいいのではないか。
その方が気持ちは楽になるのでは。
『王様、実はキャットゲートを開門したままにしておりました』
『なんだと。まぁしかし素直に言ってくれたから許してやろう』
そんな都合のいい妄想をした。
「どうしたシャム。顔色が悪いぞ」
「あ、いえ、そんなことは」
マズイ。白状するなら今しかない。あとでバレたら罪は大きくなるばかりだ。
言うぞ
言うぞ
言うぞ
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