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「あの・・・・・・」
「なぁ、シャムよ」
「は、はい」
「わたしはこれから、大臣猫たちとミルク飲み会に行ってくる。王国の留守番はしばらく頼んだぞ」
アシュアは赤い絨毯を軽やかに進んでいった。
バタンと重厚な扉が閉まると同時に、シャムはへたりこんだ。
長いため息を吐く。
––––白状するべきだった。
もう遅い・・・・・・。白状するチャンスを失ったのだ。
シャムは肩を落とし、チェッカーの職務室に向かった。
部屋に入ると、シャムはホットミルクをいれて椅子にもたれ考えた。
「さて、これからどうするか」
天井を見上げ肉球でおでこをおさえる。
ゲートが開門していたことがバレる前になんとかしなければ––––。
シャムはあらゆる言い訳を考えた。
まずは、人間の子供のイタズラというのはどうだろうか。
あの辺りにいた子供たちが無理やりゲートをこじ開けた、という設定にするのだ。
『人間は不思議な力を持っているからゲートくらいは開いてしまうかもしれませんね~』
と、逆に被害者ぶるのだ。
『ま、それに子供がやったことですから』
と、平和的解決にもっていく。
他の言い訳も考えた。
チェッカー当番表をすり替えるのだ。
ゲートチェッカーの仕事は当番制だ。しかも現在、社員は首のヘルニアで休職していて派遣猫たちとシフトを組んでいる。
そうだ。そのシフト表をイジるのだ。
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