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ドアの前に立ち、装備の最終チェックをした。
全ての物をカッティングできるブラックダイヤモンドは今日も切れ味抜群、カチカチと軽やかな音を立てている。
ボストンバッグの中にはホースや便利グッズ。
特殊ゴムの微粒子が配合されたスポンジと100%天然のパルプ繊維で出来た雑巾を装着、どちらも洗剤いらずの優れものだ。
黄色にヒョウ柄ジャージのユニフォーム、首には自分カラーである紫色のタオル。
今日も完璧、いざ参らん!
ピーンポーン。
間延びしたインターホンが響く、反応なし。
ピンポンピンポンピンポーン。
連打し耳を澄ましても静まり返り、何の応答もない。
ならば、ビジョンセンサーON、赤い光がドアをすり抜け、室内を探る。
感じる『生命体』あり。いる、確かにいる!!
小さく縮み、震えあがる生命体はこちらに気づかれぬように身を潜めている模様、仕方がない。
前回の帰りに『もう来ないでください』的笑顔でこうなることは薄々感じていた。
それを見越して、今回は依頼主の中村多恵子様から、直々にお借りしておいたスペアキーを、鍵穴に差し込み回す。
だが、しかし! 敵も然る者、ドア内部のU字ロックで二重施錠とは……!
わずかな隙間に顔を挟み込むようにして呼びかける。
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