強大なる九重というバックボーン

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要がどんな反応されているかなんて想像できるし、私は私でとりあえず3年なんとか耐えてあとは海外にでも逃げればいいや、なんて考えてるから、そもそもの覚悟のスタートラインが違うわけで。 「ねえ、あの子知ってる?」 「知らない、うちの中学にはいなかったよ?」 「うちも知らない」 「え、どこから来たの?」 なんて、ヒソヒソ話されても特に何も思うことはなくて、早く入学式終わってさっさと帰って、ゴローさんに今日こそ撫でさせてもらいたい、とかそんな事考えてて。 「私、御門!御門七緒!はい!名前教えて!」 「嘉多山芽衣です。」 「どこから来たの!?」 「東京」 「え、引越し?てきたの?」 「まあ。そんなとこ。」 「へー!うち、家遠くて!財林町ってとこなんだけど!」 「え、そうなの?私今住んでるところ、財林町だったと思う。」 まさかの近所フラグ。七緒さんなら、九重の意味を知ってるのかな。累ちゃんの、多分、本当の姿みたいな。 「うちの近所で嘉多山なんていたかな?」 「住んでるのは、九重っておうち。」 瞬間、教室を覆う沈黙。 え、私なんかダメな事言った?九重ってタブーみたいな暗黙のルールあるの? 「え!?九重って、あのご当主の!?」 「ご当主?なのかは分からないけど、困ったら九重の親戚の家に来たって言えって言われてる。累ちゃんってご当主なの?」 「知らんの!?九重って、この辺で1番の地主さんで、ずっと昔からこの辺りの番人みたいな存在だよ!?子供の頃から九重のお家には足向けないって教わってきたもん!!」 嘘でしょ、あの、毎日ジャージ姿で庭なのか文化遺産なのか分からないレベルのやばい空間で、「ばっけ出てきた!ゴロー食べちゃダメだよ!こいつは天ぷらにする!」って草取ってる、あの、ダメな大人代表が?
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