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「累、スーツ着ると別人じゃん。」
生意気ににやにや笑いながら私の姿を見ている要と、ぽかーんとした顔でこちらを見ている芽衣。双子でも反応が違うこともあって面白い。
「累ちゃんが……スウェットとかパーカーとかジャージ以外の服着てるところ、初めて見た!」
「なんかダメな大人を全力で見せていたことを今自覚した。ごめん。」
「「……ダメな大人って、あれ、累(ちゃん)って、何歳なの?」」
「ダブルサウンドかよ。えー、君たちの二倍以上生きてるかなー。」
「「うっそでしょ!?精神年齢何歳!?」」
「精神も三十年以上生きとるわ!」
信じられない、と言われても。
「累みたいな大人が大人って言って許されるなら、なんか俺はちゃんと大人になれる気がする。靴下裏返して脱ぎ捨てないし。」
「ちっさ!!靴下程度で大人を決めるなよ!?」
笑って流したけど、それでいいんだ。無理にしっかりしなくていい、無理に背伸びしなくていい。今はまだ、起きたらご飯があることも、脱いだものが洗濯されて干されてたたまれていることも、帰宅したらお風呂がわいていることも、全部当たり前だと思ってくれ。当たり前を知らなければ、当たり前を失った時に気付けないから。あと靴下裏返して脱ぎ捨ててるわけじゃない、それはゴローが遊んだ私の靴下の残骸だ。ゴローよ、いい加減私の靴下をきどころ寝している時に片方だけくわえて引っ張ってぬがせて転がして遊んで放置するってルーチン、辞めない?きどころ寝してる私も悪いんだけども。
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