1人と1匹、一軒家の日常

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そんな軽口を叩きながら、2人を車に乗せて今日から2人が通う瀬名高校の入学式へと向かった。一生、誰かの入学式に「保護者」の枠で参列する事なんて無いと思っていたけど、人生いつ何が起こるかまったくもって予想なんぞできないものだ。 「もし周りから、都会から来たのかって冷やかされたら、九重の親戚の家に来たっていえば多分大丈夫だから。」 「え、どういう意味?」 「累ちゃんって有名なの?」 「私が有名なわけじゃなくて、あんた達のご先祖様が凄かっただけだよ。私は見ての通り。」 「「スーツで誤魔化せてるダメな大人」」 「そのダメな大人が着てるスーツ、フルオーダーだから軽く諭吉10枚以上の代物だがな。」 これでも一応、九重の看板背負ってる身だからね、そりゃぁいい服の一つや二つ持っていますよ、着る機会があまり無いだけで。人付き合いも好きじゃないしお呼ばれされても欠席貫いてるから仕方ないけど。 入学式のご説明ご案内、みたいな話をなんとなく聞いていたら、後から入ってきたご夫婦に話しかけられた。 「あら、九重のご当主じゃないですか!お呼ばれされたんです?」 「佐伯さん、ご無沙汰です。お呼ばれでここの席にいるわけないじゃないですか。」 「えっ、お子さんいらした、え?」 どうでもいいじゃん、と言いたいダメな大人ではあるが、大人なのでそこはにっこり笑って 「九重の若いのが2人、ここにお世話になるんですよ。宜しくお願いしますね。」 と言えた私は本当にできた大人だと思う。嘘は言ってないし。苗字違うけど血縁だし。若いし。うん。
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