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ぐっすり眠ったはずの朝から、肩凝りが酷い。 また眠っている間に歯を食い縛ったんだろうな……。 朝食を摂るため、リビングに向かう。 動く気力の湧かない私に母がトーストを焼いてくれる。 机に並ぶいつもと同じトーストとコーヒーとリンゴヨーグルト。 文句を言う気は更々ない。 「おはよう。」 と両親に声をかけたとき、気付けば鎧に身を包み、笑顔のお面を被っている私がいた。 父に軽口を叩き、母にジョークを言う。 口からくだらない話題が止まらない。 本当は何も話したいことなんてないのに。 一人になった今、自分の鎧の重さと(つら)の厚いお面に辟易した。 気がつけば、私はどこにいても鎧とお面を身に付けるようになっていた。 いつからだろう? 昔は鎧を身に纏っていることにすら気付かなかった。 貴方はいつも笑顔だね、と言われお面の存在に気付いた。 悲しいけれど、これが今の私だ。
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