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ぼくが選ぶ永遠について
「これで最後」という瞬間が、生きていると何度も訪れる。
その多くは、人々が作り上げた社会やモラルによって線引きされたものだ。成長するため。別れを知るため。おしなべて、人が迷いなく生きていけるようにという意図があってのものなのだろう。そして誰もがその現実を当たり前のように受け入れているけれど、ぼくはまったく納得をしていなかった。
例えばぼくは、もう大人なんだからとか、もう次の恋をみつけようよとか、そういう無感動な常套句が大嫌いだった。
永遠に続く青春。永遠に続く恋――別にそんなものがあってもいいのではないか。たとえそれが内在的なものだとしても、大切なものを永遠にする手段は、きっとあるんだと信じようとしていた。
十八歳の三月。卒業式の日。ぼくの心はまさに現実と永遠の境目にあった。具体的には、一つの恋が終わる可能性を潰すべく、自分なりに抗おうとしていたのだった。
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