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「私たちはコーチに、いつまで指導をしていただけるのですか?」
私が思ったことを率直に質問すると、睦月コーチは急に沈黙してしまった。
どうかしたのかと思って私が不安を感じながら睦月コーチの横顔を見ると、睦月コーチは視線を下に向けて何か考えているようだった。
少し静かな時間が過ぎてから睦月コーチが話を始めた。
「蓮水さん、実は今日で最後にしようと思っていたの…」
睦月コーチの思いがけない発言に、私はショックを隠せなかった。
「えっ、そうなんですか?」
私が驚いて言葉を返すと睦月コーチが申し訳なさそうに、
「蓮水さん、実は私は遠い世界から来ました。
どこから来たのかは聞かないでください。
私はその世界に帰らなければなりません。」
と少し意味深な言葉を返してくれた。
すると睦月コーチが立ち上がったので、私も一緒に立ち上がると睦月コーチは私の目をまっすぐに見て、
「蓮水さんなら大丈夫!
セッターはチームの司令塔だから、チームメンバの思いを真剣に受け止めてください。
蓮水さんなら、それができると信じています。」
と少し強い口調で私に思いをぶつけてきた。
私が言葉を失っていると睦月コーチが、
「蓮水さんとは、ここでお別れです。」
と言ったかと思ったら、睦月コーチは私の唇に優しくキスをした。
そして、私の肩に腕を回して私の体を優しく抱きしめてくれた。
私は睦月コーチのキスを何のためらいもなく受け入れた。
これは私は睦月コーチのことを以前から好きだと感じていて、この感情はまるで異性を好きになるような感情であると思っていた。
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