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「蓮水さんとは、また会うことができます。
私のことを覚えていたら、10年後の12月24日ここに来てください。」
睦月コーチが私の耳元で静かにつぶやいた言葉が私にはよく理解できなかったけれど、睦月コーチのことは決して忘れないと強く思った。
睦月コーチが私の体から離れて歩きはじめると睦月コーチの体が急に光りはじめて、まぶしい光の中につつまれたと思ったら光は少しずつ和らいでいってやがて光は消え、そこに睦月コーチの姿はなかった。
私は目の前で起こった不思議な出来事に、ただ呆然と立ち尽くしてしまった。
翌日いつものように授業が終わってから放課後に女子バレーボール部の練習に参加した。
休憩時間中にチームのメンバに、
「睦月コーチがいなくなると寂しいね!」
と話すとチームのメンバは不思議そうな顔をして、
「一彩、睦月コーチって誰?」
という予想外の言葉が返ってきた。
チームメンバの誰も睦月コーチの存在を知らないようだった。
睦月コーチから指導を受けた3ヶ月間はいったい何だったのだろうか、私は狐につままれたような不思議な感覚を覚えた。
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