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空が夏の暑さを脱ぎ捨てて、冷たい空気をそよがせるようになるころ、『コミックトリガー』の新人賞の発表があった。
僕は、佳作入賞および、将来有望な新人に与えられるとされる、ニューフェイス賞のW入賞だった。大賞を獲れなかったことは悔しいが、次回へと続けられる賞を取れたのは、大きな収穫だった。
編集部からの講評は「これからより多彩な社会経験、対人関係を学び、マンガに生かして、多くの人に作品を届けてください」と締めくくられていた。
だから、というわけではないが、僕は二学期から、ぼちぼちとだが、学校に登校するようになった。
虐めは前ほどでは無かったが、たびたび散発し、それに引きずられるように僕の登校ペースは、二日おきだったり、一日行っては三日休む、というようなものだった。それでも、僕は勇気を振り絞って足を前へと動かした。当然、マンガを描く時間は減ったが、学校生活を送りながらマンガを描くという日常は、なんだか、自分の作品の底を深くしてくれるような気がして、思ったより悪いものではなかった。
だけど、あれだけ僕を学校に来るように迎えに来てくれた三好先生の姿は、教壇に見いだすことが出来ない。
僕には、やっぱり、それが寂しかった。いや、とても、寂しかった。
僕は、そんな思いをぶつけるように、いま、新しい作品に取りかかっている。渾身の力をこめて、ネームを切っている。
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