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午後19:00
やっと1日が終わりを告げた。
同時に、忙しかった分の疲れがどっと体にのしかかってくる。
「ふう〜〜あ、舞ちゃんお疲れ様」
ふと前を通りかかった舞ちゃんに声をかけると、私を見て何か思い出したかのように続けて話をした。
「さっきの電話のお客さん、白方さんのお知り合いなんですね!」
電話のお客さん…あ、仕事中のやつか。
私の知っている人??
「あんまり聞いてなかったけど、名前は?」
そう言うと、舞ちゃんは受付に置いてあるタブレットで予約一覧を開いた。
「山崎颯太さんっていう方です!白方さんとは仲が良くて、担当にしてもらいたいって言ってましたよ!」
一覧表に載っていた名前を指さして舞ちゃんはそう言った。
ん??私の聞き違いか?
いや、でも確かにここに載ってる名前は山崎颯太…
え、嘘。
なんで山崎君が……
私の職場を知ってんのよ…
てか明日来るじゃん!!
うわぁまじか。
忘れていた記憶が、彼の名前を聞いた途端
鮮明に蘇る。
あの日の記憶を、私はまだ忘れていない。
いや、忘れられない。
ダメだと分かっていても、彼というドロドロの沼にまんまと呑まれていった自分のこと。
心にしまっていた気持ちがまた燃え出していたような気がする。
気持ち悪いけど、なんだが気持ち良い…みたいな。
もう出会わないと思っていたのに。
これってもしかして、出会っちゃう運命的な…?
いやいや、そんなことないだろ。
ただの偶然。
絶対にただの偶然だから
ね…
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