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自分で引き起こした顛末を見ることが、許しを得るための罰だと思うとる、このどうしようもない爺を。
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次の日の朝、ズズとエスメラルダは、ミガルドを出て、灰が降ってこないところから街の様子を眺めていました。
ズズの手の中には、ミガルドで書き込んだ記録がはっきりと残っています。
もちろん、その中にはバルバロの告悔も記されていました。
「あの老爺、直に自分も灰の下に飛び出して、すべてを忘れるわよ」
エスメラルダは涼やかに言いました。
「どうして」
「その方が楽だからよ。決まってるじゃない」
ズズはそうかな、と呟いて、バルバロの言葉を思い出します。
「バルバロ翁は、今の方が楽だと思うよ。自分は罰を受けて当然だと思っている人は、どれだけ辛くても耐えられる」
「それってアンタの話?」
どうかな、とズズは答えました。
それから、ズズは開いた本の上に手を乗せました。本とズズの手の間から青い光が漏れて、辺りを強く照らしました。
「時の逆戻る街、ミガルド」
ミガルドの街が、ズズが放つ光と同じ色に覆われいくのを見て、ズズは本を両手で持ち直しました。
「魔法に捕らえられた街よ。記録の中で一時の休息に沈みなさい」
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