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 世界の果ての果て。  隅っこの方にある大きな建物。  そこにシロンという少女がいました。  シロンは建物の中から外に出たことのない引きこもりで臆病な少女。  彼女は閉じた堅牢なその建物から出られません。  なので、お友達を作る事もできず一人寂しく、毎日をすごしていました。  けれど、シロンはある日から勇気を出してカラスのお友達にお手紙を渡して、世界中に落っことしてもらいます。  そんなシロンの元へ、ある日女の子がやってきます。  女の子の名前はベルディア。  手紙を手にした彼女は、シロンと友達になりに来たと言います。  一人ぼっちだったシロンは、毎日ベルディアと遊べるようになった事を喜びました。  二人はあっという間に仲良しになってしまいます。  お絵描きをしたり、鬼ごっこをしたり。  たくさんの事をしました。  しかし、二人の別れはすぐにやってきてしまいます。  ベルディアが作って来たクッキーを食べたシロンは、ばったり倒れてしまいました。  息も絶え絶えで、身動きができません。  それは毒を盛られてしまったからです。  なぜ、そんな事を?  問いかけるシロンに向けて、ベルディアは答えました。  こんな建物にずっと閉じこめられている人間が良い人間であるはずがない、と。  良い人間でないのなら、悪い奴にきまっている。  だから、言います。  悪い奴をやっつけにきたのだと。  シロンは涙をこぼしました。  普通の境遇で育ったのではないなら、シロンは一生ベルディアのような子と友達になれないのでしょうか。  そうだというのならシロンは、生まれた時から友達などできない運命だったのでしょう。  ベルディアに騙されたシロンは、悲しみの中でこと切れてしまいます。  シロンの死を見届けたベルディアは満足しました。  そして、彼女は首をかしげました。 「それにしてもどうしてこんなところに悪い人を閉じ込めた人は、悪い事をやった時に早く殺さなかったのだろう」
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