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 それから数日後。  我等に好機が訪れた。  化け物は風邪でもひいたのかわからないが、体調が悪そうだった。  我等は、今までに盛った中で一番強い毒を娘に渡した。  思えば短い戦いだった。化け物と人間の戦いは。  でもそれも、今日で決着がつくだろう。  我等は運命の神に祈りながら、娘がぶじに帰ってくるのを待つことにした。  じりじりと時間が過ぎていくのを感じて待機していると、仲間の監視員が報告をあげてきた。  どうやら、化け物が飛ばした手紙を解読することに成功したらしい。  いまさらだと思いながらも、報告に耳を傾ける。  それはもう今の時代では使われなくなった古代文字で書かれていた。  手紙に書かれていたのはこんな内容だった。 「私はいつも一人ぼっちでさびしいです」 「だから話し相手になってください」 「一日でもいいから友達になってください」 「会うのが恥ずかしいなら、文通相手になってください」 「私は外に出られません。ずっと前にお母さんとお父さんと使用人さんを守るために、結界をはるお仕事をすると約束してしまったからです。」 「それでもいいなら、私とちょっとだけ遊んでくれませんか?」 「我儘はいいません。もし友達になってもかまわないというのなら、お返事を下さい」
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