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01
この世界に在る、大きな国。光の国と闇の国。
ちょうど二国の境には、大きな建物がある。
その建物の中には、一匹の化け物が住んでいるらしい。
窓辺からたまに見るのは、ただの一人の少女のように見えたが、その背中には真っ黒な羽が生えていたから化け物にちがいない。
普通の人間にはあんなものが生えていないからだ。
だから、その国境を監視している人間は、あれは異形だと結論付けた。
あの化け物は我等人間が住む光の国と、悪しきものが住む闇の国を結界で分断しているらしい。
その理由は一体?
あれが、何のためにそうしているか分からない。
古代ならまだしも、悪しき者達が弱体化しているこの時代では、我等の国の国土拡大の邪魔にしかならないというのに。
まだ理解できない点はある。
あの化け物は時々、よく分からない字で手紙を書いては、各地に落としているらしい。
風向きの関係で、闇の国にしか落ちないから、そちらの国に向けて出した暗号文なのだと推測した。
だとするとあれは人間の脅威となる存在だ。
早急に対処しなければならない。
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