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「おめさんがやっちゃくねぇって言うから、しょうがねぇから俺が若頭になるしかなかったんだべ」
柚原に触発されたのか、俺もはじめてひとを好きになった。
【僕は福島弁で話す貴方が嫌いじゃないです。真面目で実直な貴方らしいから。だから、無理して標準語で話さなくてもいいです】そう言ってくれた姐さんに胸をぶち撃ち抜かれた。
柚原は若頭になることを固辞した。
「俺、姐さんの弾よけになっから、ヤス、お前に譲る」
「無理ですよ、俺」
ヤスにもまんまと逃げられてしまった。
「やっぱ、誰かいねえか。そりゃあそうだよな。責任重大だもんな」
縁側に腰を下ろし、空を見上げながらはぁーとため息をついていると、ひとりの男の名前が頭に浮かんできた。
彼なら適任だ。
俺は迷わずスマホを耳にあてた。
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