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「あ"ー」
机に突っ伏すと、武野が机に肘を付いて呆れた顔をする。
「何だ、その声」
「歌いまくってもう声ヤベぇの」
顔だけをそっちに向けて笑うと武野はゴミクズでも見るみたいに目を細めてため息を吐いた。
「こっちは真剣に部活やってるってのに」
「俺だって昨日は補充だから勉強してたっつの!」
「は?補充で歌ったのか?洋楽?」
「えー?何言ってんのー?」
武野の言葉の意味がわからなくてタルいまま声を出す。
だが、喉が痛くて起き上がって首元を押さえた。
「琉生ー!これ、あげるーっ!昨日はめーっちゃよかったーし、また行こうねー!」
タイミングよく凛華が現れてのど飴を受け取る。
「サンキュー!マジ凛華、優しいわー!」
その腰に絡み付くと武野がわざと聞こえるようにため息を吐いてもう顔を背けた。
その隙に凛華と軽くキスをすると二人でギューと抱き締め合う。
この軽く女の子と触れ合うのがいい。
柔らかくていい香りのする凛華にくっついて目を閉じた。……のだが、
「教室で何してるんだ」
後ろ襟を引っ張られて引き離される。
そこには怒りよりももう呆れている工藤が居た。
「もー、疲れたから充電ー」
「そー!くーちゃんも混ざりたいー?」
ダレつつくっつくと、凛華もギューっとくっついてくる。
「混ざるか!フザけるなっ!!」
「もー!ガチに捉えちゃってぇ!モテないよ?」
「凛華、くーちゃんは来月結婚するから彼女一筋」
喚く工藤にニヤニヤと目を向けると、工藤は容赦なく俺の後頭部を叩いてきた。
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