~エピソード0~ 1

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 見渡す限り白い雲と青い空の広がる庭園(ガーデン)で、唯一緑の葉を青々と茂らせ天高く(そび)え立つ大樹『リン・カ・ネーション』。大樹は、一年中蕾をつけていて、一日に一つ、ベルの形に似た白い大きな花を咲かせます。  未満天使であるNoel(ノエル)たちは、このベルの花から生まれてくるのですが、ベルの花から生まれるNoel(ノエル)の体の大きさは、決まっていません。下界人(げかいびと)のように、皆が赤ん坊の経験をするわけではなく、赤ん坊であったり、子どもであったり、成人であったり、老人であったりと、Noel(ノエル)として生まれ落ちるときの姿は様々。子どもや成人の姿で生まれたNoel(ノエル)の中には、その後、下界人と同じように体が成長し、歳を重ねていく者もいます。  Noel(ノエル)の見た目は下界人とほとんど同じです。(わたくし)たち天使には、下界人がイメージする通り、羽根があり、金の環が頭上で輝いておりますが、それは、立派に天使へ成長した証。未満天使であるNoel(ノエル)にはそれがありません。  見た目は下界人と変わらないNoel(ノエル)ですが、彼らと下界人とでは、大きく異なるところもあります。それは、Noel(ノエル)には感情がほとんどないということです。怒ることも、楽しむことも、悲しむこともありません。ただ、喜ぶことはほんの少しだけあります。  感情のほとんどないNoel(ノエル)たちは、お互いに干渉しあうことはほとんどありません。それでも、日々新たな仲間を迎え入れることは、彼らにとって、静かで穏やかな喜びなのです。  大樹の花が開く時間には、いつでも静かで穏やかな喜びがNoel(ノエル)と大樹の周りを包んでおります。  しかし、本日の開花は少々違いました。
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