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第1章ー出会いー
狩野光(かりの ひかる)は、ごく普通の中学生だった。狩野家の次男で、顔、成績、スポーツ、性格共にまあまあ。極々普通の生活を過ごしていた。がそれは突然、彼を襲った。光はある日、死んだ。次の日自分の遺影が飾られた葬式を見て自分の死を悟った。
それからというもの、彼はひたすらさまよい続けた。
さまよい初めてどれだけの時間が経っただろうか。不意に声をかけられた。
『こんばんわ、私今塾の帰りなんだけど、君はこんな時間にどうしたの?』そこに居たのは、光が見たこともないような美少女だった。今まで、自分から声をかけても誰一人応えてくれなかったからか、久々に自分に向けられた声に、感動のようなものを覚えた。
『僕が見えるの?』と涙声になりながら言った。そして、かくかくしかじかを話した。
『えっ じゃあ君は幽霊なの?』
『うん、そうなんだと思う。ここ数日誰に声をかけても無視されるし、壁も通り抜けられる、あとね僕の遺影のお葬式があったんだ。』思い出すだけで辛くなった。
『じゃあ君は未練があるの?』
『えっ?』
どうゆう意味だろう。
『え?わかってないの?死んだ人は黄泉の国だか天国だか地獄だかに行くんじゃないのかな?それがまだ出来てないってことは君は未練があってまだ死の国へ行けてないんじゃない?何か未練はないの?』
なるほど、、、、。
『えーあ〜。うん、彼女とイチャイチャとかしてキスとかしてみたい。とか?』
咄嗟に吐いた嘘だった。まあ、願望ではあるけど、それが未練かは分からなかった。
『協力するよ。名前は?』
そう言った彼女は、綺麗な顔をふわりと笑った。もう、夢みたいだ。
『狩野光(かりのひかる)です!よろしく。』
『クリス・ユリアよ。一応言ってておくけど、魔女と人間のハーフよ』
『へーまじ!?よろしくユリア』
一瞬疑った。でも俺が幽霊だと思うとそんなにびっくりしなかった。
こうしてユリアと光のちょっとおかしな恋人ごっこが始まった。
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