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玄関を出ると、隼人と有朋が、楽しそうに話しているのが見えた。
有朋は圭に嫉妬しているのだろうか?
隼人を取られる。と、怯えているのだろうか?
隼人が、おいで。とばかりに、手を振った。
「彼は、嬉戯が強そうですね。
機会があれば、お手合わせ願いたいものです」
なるほど、面白いかもしれない。
圭は考える。
嬉戯は、打ち方、禁じ手を覚えるだけでなく、相手の癖、性格をも把握しなければならない。
そして、自分の性格を隠さなければならない。
冷たい目で人を見、考えをおくびにも出さずに、次の手を考える。
圭と同じく、冷たい目で人を観察する有朋相手なら、手応えのある嬉戯ができるだろう。
機会があれば、お手合わせ願いたいものだが、両手を上げて、有朋の意見に賛成するのも癪に障るので、黙っていた。
「面白そうだけど、事件が解決してからにしよう」
「解決の暁には、約束ですよ」
有朋が隼人を見、次に圭を見た。
「承知しました」
「じゃ、また明日」
隼人に肩を押されて、高林邸を後にした。
「少々、付き合い辛い男だろう?」
かつて、親友として付き合ってきたはずの隼人が、溜息混じりに言う。
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