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「こちらは探偵さん。
きっと犯人を見つけてくれるから、安心して」
有朋の言葉に、娘は微かに口元を綻ばせた。
どうやら、隼人の容貌に驚いていたのではないらしい。
「よろしくお願い致します。
こちらへどうぞ」
中は、義礼邸と線対称ではあるものの、雰囲気は全く違っていた。
部屋の入り口は、義礼邸は中が見える、硝子を組み合わせた障子。
義史邸は、西洋風に木の扉である。壁には油絵が飾られ、華やかな花瓶に活けられた生花などが、幸せな家庭を思わせられた。
隼人達を廊下に残して、娘は一人、扉の向こうに消え、直ぐに戻って来、どうぞ。と、扉を開いた。
「朝早くから、申し訳ありません」
慣れた調子で入ると、有朋は、ソファに座っている三人に頭を下げた。
「相馬君、探偵とはどういうことかね?」
よく似ているが、義礼よりも恰幅が良く、年上に見える。
義史が怪訝そうに、隼人を見やる。
嫌な感じはしなかった。
義史の言葉に、探偵に対する警戒は感じたが、隼人の外見に対する差別は感じなかったのだ。
「彼は、僕の大学時代の先輩で、弁護士でもあります」
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