監禁

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 明治の時代に流行った、派手でクラシカルな洋館である。  シャンデリアやら彫刻、施しが過ぎて、主の趣味の悪さを物語っているようだ。  玄関近くの部屋に通される。    赤い絨毯に、ゴブラン織りのソファ。全くもって落ち着かない。  ソファに体を沈めているのが、山科だった。  仕事もせず、道楽だけで日々を過ごしているにしては、引き締まった体をしていた。 「お前が脅迫者か」  珈琲を口に近づけながら、山科は、馬鹿にしたような口調で言う。 「脅迫? 俺が脅迫をしていると言うなら、警察に行きますか? 一緒に」  ギロリ。と、山科は睨んだ。  唇の左端が、紫色に腫れている。  切れてもいるらしい。  熱い珈琲なら滲みただろうが、飲んでいるのは、冷やし珈琲だった。 「その傷、いつできたものです?」  入り口の前で立ったまま隼人は問うが、山科は答えず、視線を逸らす。 「誰に殴られたのです?」  黙っていても、山科が不快に思っているだろうことは、伝わってくる。 「それでは、二階に監禁している女の子の話をしましょうか。あの子は誰なんです?   まさか、自分の娘だとは言いませんよね」
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