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四年前、まだ隼人が弁護士として勤めていた時、担当していた事件を、追っていた勇一郎が絡んで来たのが、出会いだった。
だらしなく見える外見とは違い、仕事に対しては真摯で、話しをしていて面白かった為、直ぐに親しくなった。
その結果……。
「鍵忘れて、家に入れないんだ」
「鍵?
だったら下宿に帰れば良いだろう」
「下宿は今ちょっと、まずい」
「なにがまずいのだ?」
「暫く戻っていないから、色々とな。時間がある時でないと」
「どれだけ散らかっているのだ? 近所に迷惑はかからないだろうな」
「その辺は、な。
もう帰るんだろう?さっさと帰ろうぜ。腹減っちまってさ」
と、まるで同居人である。
ん? と、勇一郎の視線が、机の上にある新聞に向けられた。
新聞とはいえ、昼食代わりの鯛焼きを包んでいた、半分に破られた物で、興味のある記事があった為、置いていたのだ。
「あぁ、この事件か。
妙な事件だから気になるよな」
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