旧友

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 「叔母さんが赤ん坊を抱いていたからって、従兄弟とは限らないだろう?」  義礼の狼狽えた声に、有朋は冷静だった。 「そうですね。  では、叔母の居所に変更して下さい」  隼人は、驚きの表情を消さない義礼を上目遣いで盗み見しながら、必要な事柄を有朋に問うた。  母の名、叔母の名、別れた年齢や場所。 「申し訳ないのですが、全く思い出せないのです。  叔母の記憶もとても朧げで、薄暗い背景に、着物を着た、顔のはっきりしない女が、赤ん坊らしき影を抱いている絵が浮かんでくるだけで、どうしてそれを叔母だと認識しているのかも、我ながら理解できないくらいなので」  よくもそんな適当な記憶で依頼に来たな。 と、心の中で毒づきつつ、義礼に顔を向けた。 「高林様に伺ってもよろしいでしょうか?」  表向きは冷静にしているが、顔色は正直だった。健康そうだった肌の色は今、青く変化している。何に対して困っているのかは知らぬが、目の玉などじっとしていない。 「確か、相馬はまだ、五歳だったと思います。住んでいたのは」  言い淀んで、視線を泳がせた。 「覚えていません」 「覚えていないのですか?」
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