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「起きてー。」
「んっ」
「起きてってば。」
「んー」
「くるみーん、お昼だよ。」
「えっ。」
はっと目が覚めると、そこには親友のユリちゃんが微笑んでいた。
「あれっ大竹先生は。」
「もう4時間目は終わったよ、寝坊助さん。」さあ行きましょとユリちゃんは弁当を掲げた。わたしは鞄から財布を出して、白い小判形のプラスチックに『日替わり定食』と書かれた食券があるのを確かめると、彼女と一緒に教室を出た。
「はぁ、また寝ちゃったか。」
「最近多いよね、寝れてないの?」
「寝てはいるけど眠りが浅くてさ。」
「それあるわぁ。」
ふと何かわたしは思い出しかけたが、昼食のことでそんなことは綺麗に消えてしまった。階段を下りると、食堂の前はスクランブル交差点みたいに人でごった返していた。
「わたしメシ取ってくる。」
「じゃあ席にいるね。」
「うん。」
ユリちゃんと別れると、わたしは厨房の見える受け取り口に小走りで向かった。食券をお盆に乗せて列に並んでいると、カレーのいい匂いが空腹を引きただせた。
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