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「お手に取っていただきありがとう。」
ふりむけば、くまをかった目と合った。
「トカゲさんっ」
「なんかぎこちないね。」
首をかしげる彼からわたしは視線をそらしながら、
「そんなことないですよ。」
「へぇ」
「…レジ行ってきます。」
わたしは足早に彼の横を通り過ぎた。
『ありがとうございましたー。』
自動ドアを無事出ると、彼は外にあったCDの棚にうなっていた。わたしは笑いをこらえつつ、
「お待たせしました、何探してるんです?」
彼は答えた。
「特に、何も。」
わたしは軽くこけた。ふふっと彼は微笑した。
「行こうか。」
「え、あっはい。」
彼のくれた眼差しに頑張って合わせてはいたものの、わたしは頭の隅で湧いた邪な疑問は悟られないようにした。
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