初めてのパパ活

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 なにも、面白そうだから見物させてくれと頼んだわけではない。ただ、大野が、美人局とかにあったら怖いから遠くから見守って危なそうなら助けてくれ、というので仕方なく付き合うことにしたのだ。ここから見守る大野は、会社帰りのサラリーマンという雰囲気を余すところなく発したまま、慣れないラウンジのソファに膝を揃えて座っている。相当緊張しているのだろう。初めてのパパ活。つられてわたしもドキドキする。周りには品のいい女性たちや、商談だろうか、スーツ姿の男性のグループも散見される。  やがて、大野の座っている席に、一人の女の子が近づいてきた。栗色のロングヘアをなびかせ、膝上のスカートからスラリとした足を惜しげもなく披露している。持っているバッグは遠目からでは良く分からないけれど、おそらく若者に人気のブランドのものだろうと思われた。パパ活にいそしむ女子というとお金に困窮しているというイメージだったが、現れた子を見る限り、わたしの抱いていたイメージは的を射ていなかったことになる。彼女は隅から隅まで丁寧にお手入れされた、例えば大学のサークルで蝶よ花よともてはやされていてもおかしくないような見た目をしていた。
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