桜の花びらを纏う君と恋を。

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 その翌日から、朝のジョギングで、上杉を見かけなくなった。季節は秋から冬に変わるところだったから、もしかして寒さが苦手なのかなとのんきなことを考えていた。  だけど、その状態が3週間以上も続くと、落ち着かなくなる。もしかしてあいつは外部受験するのかな。追い込みをかけるため、ジョギングはやめたのかも。  それでも桜並木や自販機には毎日行ってしまう。未練がましいたらない。  学校でも上杉を見かけなくなった。きっと来てはいるんだろうけど、クラスは別の棟にあるから、あまり会えない。せめて元気にしているのか知りたかったけど、共通の知り合いなんていないし、誰にも聞けない。  こんなものか。  うん。きっとこんなものだ。  もともと縁なんてなかったし。道家が心配するようなことは何も無かったんだ。  白い息を吐きながら、少し笑った。  走る楽しさは何も変わっていない。アイツに会えなくなってもそれは消えない。そう思おうとした。したのに。  今は枯れ木となっている桜の下で足を止めた。今でもたやすく思い出せる。ここの土手で、上杉が寝転がっていたのを。そして泣いていたのを。  あの時、あいつの体に降り積もっていた桜の花びらのように、俺のあいつへの想いも降り積もっていたのだろうか。  俺自身も知らない間に。  泣きはしない。泣きはしないけど、とてつもなく寂しくなった。      
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