契約

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 自殺をすれば天の国に入れないと言い掛けたハウエルだったが、クリスチャンで無い彼は天の国に向かう事は無い。ならこの男はヘブライの神からすでに離れた状態ではないか。  だがこうこうと輝く彼の魂は、ともすれば審判の日に悔い改める機会が設けられ救われる可能性は否めない。やはり手に入れて置くべきだ。  ブッディストは死ぬと別の存在に生まれ変わるそうだしそれも厄介だ。 「ブッディズムでは自害は業とか言うものになり新たな生に不幸をもたらすのでは」  男は笑った。 「人間なんて死んだら終わりだよ。あの世なんてあるものか。あってたまるものか。生きている間コテンパンにされ続けたのに死んだ後にまでされてたまるものか」  何だこの男、ホトケとか言ったのにブッディストではないのか?だが人生に満足してこなかった事だけはよく分かった。付け入る隙はそこにあるのかもしれない。 「わかりました、止めません。だがこうなる経緯を教えてくれませんか、構わないでしょ人生の最後に悪魔とお喋りしても」  男は意外にもそれに応じ近くの幹に腰を下ろし、地面を見つめつつ漏らす様に話し始めた。
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