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「待ってください!ああ!待って! 」
次にいつ見つけられるか分からない上物を前に悪魔は必死になった。
「だったら!そう!こういうのはどうです! 」
間を伸ばしつつ必死に考える。そして無理に絞り出した言葉が男の手を止めさせた。
それは一つの契約を提案させた。
「出来ますか悪魔さん」
その内容にハウエルは渋い顔をせざるを得なかった。彼に叶える事は現時点では確実に無理だった。
しかしハウエルは顔を寄せて言った。
「成立です。しかしすぐには無理だ、時間を頂きます。必ず実現させるのでよそに魂は決して渡さないで頂きたい」
見えない筈の悪魔の瞳孔を覗き込んでいた男だったがそのままに小さく三度頷いた。
「わかった。もう暫くごみの中に居るとしよう」
「思ったのだが先程の話、世の中に広めてみてはどうだろう。無能だとか努力が足りないなんて言う者が減るかもしれない」
「どうだろうね」
男は笑った。
所がこれがハウエルの次の契約に繋がる事になった。
ハウエルが次に見つけた契約相手は1年後、男に引けを取らぬ健全な魂を持った若者だった。
それは彼が男の下に会いに来た事で見つけられたのだ。
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