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ジャーナリストが作った小さな波紋はある少女の目を開かせた。親の言いなりで育った彼女には衝撃的な事だった。
世の中はおかしい、様々な合法的歪がはびこっている。目を背けるな、声を上げろ。彼女は小さな体に収まりきらないその思いを歌に載せた。
動画サイトにアップされた名も無い個人のたった一本の動画は少女の魂と引き換えに驚くべき再生数を示し、多くの者の心に強く訴えた。
何かを強要した訳ではない、ただ観て欲しい。自分がここに居る事を、こう考えている事を知って欲しい。些細な願いだった。
それはピンハネや転売、飾りの顧問など何も生み出さない者に金が集まる事に憤っていた者には強く響いた。
ハウエルの契約が連鎖的に清い魂の契約者を次々呼び寄せ、似たベクトルで願いを持った。誰一人自分の為の願いはしなかった。
数年も経つと価値観の格差がはっきりと表れた。得に拘る者と、徳を重んじる者だ。両者はあまりに異質で地域的住み分けが進むのは必然だった。無理をした所で心地よく暮らせないからだ。
集まった者同士それぞれ、低い魂はより低く染まり、質の高い者同士ではより高い次元にそれは向いた。それがそのまま治安の差となり、業績の差となり、安定の差となった。自らの得を追求する地域と、助け合いが当然の地域であれば当然だった。
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