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山田勇
障害者訓練校で色んな障害者と出会う。
学校があり左奥にミズキ寮がある。ミズキ寮の出入口から広場があり自販機が一台ある。
そして男子寮への道と女子寮への道がある。
様々な障害を抱えて生きている男女が四人部屋に入って四人で生活する。
夜9時になるとミズキ寮は閉まる。
館主という生徒たちを面倒見る大人が仕切る。
4人の館主が一日一日変わる。
その厳しい館主の場合は特に未成年の男女はバレないように生協へ行くのだ。
障害者訓練校に入校できるのは年齢は16歳から55歳までの様々の障害の様々な男女がいるのだ。寮にある喫煙スペースで煙草を吸うところがあるが未成年以外だけで他は生協に行くのだ。
若い青年たちは煙草を覚えて、酒を覚えて、パチンコを覚えて、国分町を覚える。
寮生と通いの生徒の仲はいい。
山田勇は勾当台に来てアーケードを少し歩いたハンバーガー屋でてりやきバーガーとコーラを嗜んでいた。
窓際の席で、アーケードの通行人が見える。
様々な男女が行き交っている。
寮生は今日はパチンコに行っている。
山田勇は行かなかった。
行けばよかったかなと今更思っていた。
一人でてりやきバーガーを食べに来るのも悪くはないけど。
「庄司佳織は何してるかな」
思わず呟いてしまう。
アーケードを歩いて行く方々に知ってる顔が見えた。あっ、と山田勇は彼を見る。顔だけ知ってる彼は生協でレジをしている時、優しく応対してくれる方だ。ネームにあったのは何だっけ・・・成瀬だっけ。彼は女性と歩いている。恋人がいたのか、恋人ではないのかも。わからない。けど彼はいい一日を過ごしているのかな。
やっぱりパチンコ行くか。
山田勇は思う。パチンコしながらだと頭の中では庄司佳織の事ばかり思ってしまうのはわかっていた。だけど煙草を吸いながら寮生仲間で楽しめればいいかな。とも思った。
でも、気持ちが上がらない。
てりやきバーガーは食べ終わって、コーラを飲みながら煙草を吸ってアーケードの人々を眺めているのを動きたくなくなっている。
寮に入って年上の寮生たちから様々覚えていた。煙草に酒に国分町の大人の店。
山田勇はまだ16歳だった。
16歳は寮生で3人いる、一番多いのは18歳で20歳過ぎているのが結構多い。
ミズキ寮の寮生は仲がいいから住みやすい。
それぞれ恋もしてるだろう。
庄司佳織はどんな体験をしてきたのだろう。
車椅子になって心が冷たくなったのだろうか。
それとも何かを体験したのか。
山田勇は煙草を灰皿に揉み消した。
もう一本咥えて火をつける。
18歳の仲のいい鈴鹿守さんは今日はパチンコは行かなかった。寮で過ごすのかな?いや、どこかに行くだろう。鈴鹿守さんは車椅子が小さいサイズでスピードが出る。
それはいいのだが出かけるのが好きな守さんだ。どこに行っているのだろう。山田勇は思いながら煙草を吸う。
しばらくして山田勇は地下鉄に降りた。
左側に線路があり右側に線路がある。
5分くらい事に電車が二車線を繰り返す。
山田勇が立つ。横を電車が走る。
大きなゴーという音が鳴る。
台原に帰ろう。
ミズキ寮に帰ろう。
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