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私と班長、そして先に臨場していた交番勤務員とでご遺体を車に乗せて、東警察署まで搬送することにした。今の段階で引き取り手はいないし、このまま独居の家で放置できるはずもなく、何しろ死亡確認をする医師の先生に診てもらわなければならない。
「さあ、ご遺体持って帰って本署で指紋取るぞ、それと生き別れた身内の連絡先も捜査せんといけないしな」
例え生き別れているとしてもこの方に身内がいるならこのことは伝えないといけない。辛い仕事だけどこれもわれわれの任務だ。
そして今回のように外見では判別できないご遺体は指紋を取ってその人を特定する。発見場所はこの人の家だけど、ひょっとして別人かもしれないという可能性を消すためだ。それを特定できるのは私たち鑑識係員だけの任務と技術だ。
「今回は時間だいぶ経ってるから難易度高いぞ、できるか?早川」
「はい、できるかどうかわかりませんけど、とにかく頑張ります!」
自信はない。でも、班長に聞かれるとひとりでにそう答えた。そして、どんな難しい検体でも何故か出来そうな気がしたと同時に、この仕事に携わることができる自分が誇らしく思えたーー。
初めての臨場
鑑識係員、早川菜那子の勤務日誌 おわり
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