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初めての臨場
夏も近付き、徐々に周囲が開放的になってきたある日。私、早川 菜那子巡査は昼食を取るのも忘れて、自分のデスクで午前中に行ってきた盗難事件の現場から採取してきた指紋や足跡の整理をしていた。
東警察署刑事課鑑識係の係員となってひと月が経ち、ようやく仕事の内容にも慣れ、日頃は厳しい班長も少しずつ仕事を任せてくれるようになった。
警察官になってからずっとなりたかった鑑識係員。現場に出ては指紋を採取し、署内にいる時は被疑者の写真を撮影したりと、日々の業務は忙しいけれどそれはそれで毎日充実していた。
だけど、楽しいことばかりではない。この係にいるからこそ、避けられない苦手な業務がある。その時は突然に訪れたのだったーー。
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