ワクドキ☆下界ハネムーン!

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 その頃ふたりは、ぽかんと口を開けたまま、ネズミー城を見上げていた。 「……ネズミーの王はかなりの権勢を誇っているようだな。このような壮麗な城を建てるとは見事なものだ。光輝偉(みっきい)王の統治は素晴らしい」 「……バーカ。魅鬼威(みっきい)王だろ」 「族っぽい変換をするな」  さっきからキングがやたらとおとなしい。繋がれた手が気になるようだ。角の先まで桃色に染まっている。  ――ふたりきりだとあの手この手で誘惑しようとするくせに、人前だと乙女のような恥じらいを見せるとは。  手の角度を変え、指と指を絡める。途端に、絡んだ手のひらがじっとりと汗ばんだ。 「……なあ。お前これ、恋人繋ぎって言うんだぜ?」 「それは初耳だな。ネズミー界では皆こうするのがしきたりのようだから、倣ったまでだ」 「案外、郷に従うタイプかよ」 「寛容と調和を重んじるタイプだ」  光の王は領内マップに目を落とす。 「で、どの街から視察するの?」 「そうだな。では凶暴そうな蒼の小鬼(注:某スティッチのようなもの)の棲処から見ていくとしよう」  恋人繋ぎのまま、ふたりは宇宙的な街(注:某トゥモローランドのようなもの)の方へと進んでいく。  お目付役らはネズミー型のバケツをそれぞれ首にかけ、ポップコーンを頬張りながら、ふたりの追跡を開始した。 「……初々しくてドキドキしますね! 青春映画を見ているみたいです!」 「初デートだもんなぁ。キュンが伝染するわー!」 「でも、初デートでネズミー界に来ると別れるというジンクスがあるようですよ」 「くぅーこれが最初で最後かぁ。そう思うと魅鬼威(みっきい)城が涙にけぶるぜ!」
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