初恋みたいに恋しよう

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オレンジ、黄色、紫の小さくて可愛い花々にシャワーの水が降り注ぐ。 花の寄せ植えなんて一度もしたことのないオレが、こうして毎朝花に水やりをしているなんて。 すごく不思議だけど、でもなんだか楽しい。 ふと後ろを振り返ると、真っ青な空に眩しい太陽が昇っていて。 その太陽の光がキラキラと海面を照らしている。 今日も風が爽やかで良い天気だ。 水を止めてホースを片付けると、オレはドアを開けて店の中へと入った。 真っ白い壁に映える水色の美容椅子と、沢山の種類の観葉植物達。 窓からの景色が美しいから、余計な装飾なんて必要ない店内。 セッティングしながら待っていると、駐車場に一台の軽自動車が停まった。 しばらくするとドアが開いて、「おはよう」と元気な声で挨拶する女性の姿が。 「いらっしゃい」 「瑛斗君、久しぶり。やっと来れたわ」 「それ、預かるね。こちらへどうぞ」 荷物を預かると、オレは彼女を美容椅子へと案内した。 「長さどうする?」 「毛先がパサパサなのよね。 5センチくらい切ってくれる?」 「ん、了解。 じゃあ、シャンプー台に移動しようか。 そのちゃん」
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