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その時、店舗奥のドアが開いて、この家の住人がひょこっと顔を出した。
「あれー、苑香じゃん。来てたんだ。久しぶり」
「久しぶり、悠真君。
って、やだっ。何? その髭面は!」
悠真のアゴ髭を見て驚くそのちゃん。
「えー、悠真の髭ってワイルドでかっこよくない?」
大人の色気が爆発してるって言うか。
「それはまぁ似合うんでしょうけど。
私はさわやかな方が好きだから、なんとも……。
なんか瑛斗君に出会ってからの悠真君って、どんどん夜が似合う男になってる気がする。
ちょっとホストっぽいって言うか」
「ははっ、ホストか。まぁオレ好みには改造しちゃってるかなあ」
でも実際、悠真はセクシーな方が似合うしね。
もしさわやかな方が似合うなら、そういう髪型にしてたと思うけど。
「いいわよね、悠真君は。
いつでも瑛斗君にカットしてもらえて。
ずるいわぁ、ほんと」
「それはオレと付き合ってる特権でしょ?」
悠真の話でそのちゃんと盛り上がっていたら、急にそのちゃんが悠真を鏡越しに見て目を丸くした。
「どうしたの? 悠真君。
なんか不機嫌じゃない?」
そのちゃんの言葉を聞いて悠真に視線を向けると、なぜか悠真が頬をぷうと膨らませていた。
「不機嫌って言うか、なんか二人とも仲が良過ぎじゃない?
いつからそんなに仲良くなったんだよ」
「えー、どうだろ。
2回目のカットの時からじゃない?
だよね? 瑛斗君」
そのちゃんに言われて、オレはコクンと頷いた。
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