初恋みたいに恋しよう

11/19
前へ
/293ページ
次へ
お店を出て車に乗り込むと、助手席の窓をウィーンと開けるそのちゃん。 オレと悠真も、彼女を見送るために駐車場に出た。 「そのちゃん、遠いから運転気をつけてね」 「うん、ありがとう。瑛斗君」 「貴文さんにも、よろしくな」 悠真が言った。 「うん、伝えとく。 また今度、二人でうちに遊びに来て。 ハルトにも会って欲しいわ」 都内でアパート暮らしをしている貴文さんとそのちゃん。 住宅を購入する予定は無くて、ずっと賃貸で暮らすつもりなんだとか。 あんなに家にこだわりがあったそのちゃんだったのに。 悠真との件で、もうこりごりなんだとか。 「写真や動画のハルト君は沢山見てるけど、実物のハルト君にはまだ会ったことないから、見てみたいな。 近いうちに行くね」 「うん、絶対来てね。じゃあ、今日はありがとう。またね」 手を振って車を出発させるそのちゃん。 オレと悠真は車が見えなくなるまで、そのちゃんを見送った。 「瑛斗、次の予約は何時?」 「んー、午後2時に浜田さんが来るよ」 「じゃあ、それまで結構時間があるね。 ちょっと散歩でもする?」 「いいね。行こう」 そう言うとオレは店舗のドアに鍵をかけて、悠真と一緒に海岸沿いを歩き始めた。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

318人が本棚に入れています
本棚に追加