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お店を出て車に乗り込むと、助手席の窓をウィーンと開けるそのちゃん。
オレと悠真も、彼女を見送るために駐車場に出た。
「そのちゃん、遠いから運転気をつけてね」
「うん、ありがとう。瑛斗君」
「貴文さんにも、よろしくな」
悠真が言った。
「うん、伝えとく。
また今度、二人でうちに遊びに来て。
ハルトにも会って欲しいわ」
都内でアパート暮らしをしている貴文さんとそのちゃん。
住宅を購入する予定は無くて、ずっと賃貸で暮らすつもりなんだとか。
あんなに家にこだわりがあったそのちゃんだったのに。
悠真との件で、もうこりごりなんだとか。
「写真や動画のハルト君は沢山見てるけど、実物のハルト君にはまだ会ったことないから、見てみたいな。
近いうちに行くね」
「うん、絶対来てね。じゃあ、今日はありがとう。またね」
手を振って車を出発させるそのちゃん。
オレと悠真は車が見えなくなるまで、そのちゃんを見送った。
「瑛斗、次の予約は何時?」
「んー、午後2時に浜田さんが来るよ」
「じゃあ、それまで結構時間があるね。
ちょっと散歩でもする?」
「いいね。行こう」
そう言うとオレは店舗のドアに鍵をかけて、悠真と一緒に海岸沿いを歩き始めた。
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