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「ねぇ、悠真。ちょっと思ったんだけどさ」
「ん? 何?」
「そのちゃんはさ、悠真と別れたことでもう家を持つのはコリゴリって言ってるのに。
悠真はなんでまた家を建てることにしたの?
しかも、オレの店まで用意してくれてさ。
もちろんオレは悠真と別れるなんて想像も出来ないし、別れる気はないけど。
もし万が一別れることになったらどうすんの?」
いくらオレと長く一緒にいたいからって、全くリスクがないわけじゃなかったのに。
「んー、まぁ俺は家をデザインするのが仕事だしね。
そんな俺がずっと賃貸暮らしって、ちょっとどうかなっていうのもあるしね」
それは確かにそうかもしれない。
デザイナーさんの自宅ってどんな感じなんだろうってお客さんも絶対興味があるだろうし。
それなのに悠真が賃貸暮らしだって知ったら、なんか建物への愛があんまり感じられなくて説得力に欠けるよね。
「それに俺は安くて質が良い建材で家を建てる方法も知ってるしね。
自分でデザインしてるから、デザイン費もかかってないし。
もし仮に瑛斗と別れることになったとしても、俺一人で充分払えるくらいの価格にしてあるから、苑香の時のように困ることにはならないよ」
ここは田舎だし、家自体もコンパクトな造りだし、駐車場だけで庭もないから価格はかなり抑えられているらしい。
しかも悠真は節税に関してもよく知ってるから、都内で高い家賃を払うより、実は今の方が自己負担が少ないんだ。
独立したから通勤しなくて良いし、田舎ってことさえ気にならなければ、今の暮らしの方がオレ達にとっては断然良かったってことなのかもしれないなあ。
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