319人が本棚に入れています
本棚に追加
「両親が離婚したのは最悪なことだってずっと思ってた。
でもあれがなかったら、男性を好きになってないかもしれないし。
美容師になっていたかどうかもわからない。
今思えば必要なことだったんだ……」
「俺もそうだよ。
妻に浮気されてひどくショックで。
人生のドン底だって思ってた。
でもあれがなければ、大切な人に出会えなかったんだ……」
「そう思ったら、最悪な出来事って最大のギフトなのかもしれないよな」
全てがそうだとは言えないけど。
後で考えたら、それは必要なことだったってわかる日が来ることもあるんだ。
「ありがとね、悠真」
「ん? 何が?」
オレは足を止めると、悠真を真っ直ぐに見つめた。
「オレに毎日、幸せを与えてくれて……」
子供の頃からずっと寂しがり屋だったオレ。
そんなオレのそばに悠真はいつもいてくれて。
沢山の愛を注いでくれる。
「お礼を言うなら俺の方だよ。
瑛斗のことを守りたいって思うから頑張れるんだ。
瑛斗の存在があるから、俺は生きていく意味を見い出せるんだよ」
「悠真……」
どうしよう。
なんか、すげぇ胸にジーンと来る……。
「悠真、大好き!」
誰も見ていないことをいいことに、オレは悠真にガバッとしがみついた。
「おっと」
ビックリしつつ、すぐに抱きしめてくれる悠真。
ヨシヨシと頭を撫でられた。
あぁ、やっぱりすげー安心するよね。
悠真の腕の中は……。
最初のコメントを投稿しよう!