‐ 5  きっと  愛 なの これ …

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―  そして ふたりは ...          ... Switch ... ―   " ワタクシ ” なん て…             ワタシには   似合わないの に? なんで " 謂わされて ” た んだろ… ―                       郊外の大規模な     住宅展示場の平日は静かで … それでも 各社の最新タイプの キラキラなモデルハウスたちは 距離が保たれ 配置されている なにせ お隣りは ライバル社の展示物 モデルハウス前には少しでも目立とうと 植栽に凝るだけではなく のぼりを立てたり 縁日のような屋台や ワゴンを出したり   各社が個性を出し 無意味なキレイな  お姉さんを立たせたり  自社のゆるキャラを遊ばせていたりと           実はバチバチで … ここで働く者は それぞれ 気やすく お隣りさんには 近寄れない そんなここの モデルハウスの数は 県内で一番多く  70棟ほど で 来客用駐車スペースは それらをグルっと囲むように200台分で 横浜駅からは  ここへの無料バスも動いている そんなに 大規模な住宅展示場は 広大な敷地の割には まだ早い 夕方の18時になると もうだんだんと どこも静かになっていき ここ一帯だけ " ぽっかり ” と 異 空間 に なる その様は隣地から見ると 薄暗く ここではなにも動かないし ここからは なにも聞こえてこない ここで働く者は ほとんどが営業担当で 車通勤 で  その駐車場は場外にあり そこは この規模の住宅展示場だと  自分たちが居る処から 夜は真っ暗な かなり離れた 裏手に設けられている けれど そこも ライバル社と 共に 車を並べることになるので 会社同士の勢力争いもあって … なのでここは 一見 静かな様で あっても 社外でも 社内でも        いろいろな事が ある … そのひとつ の 或る メーカーのモデルハウス その職場は  ワタクシが入るまで は 少人数の集団のStaff たちは 一つに纏まっていた けど ワタクシがそこに入った事で        なにかかが崩れ ソノヒトは  そんなワタクシを護るために その職場で 悪者に なった それを  周りの人は判っている から だれも ソノヒトの味方にはならない だから ソノヒトは …  " もっと ” 悪者  に なって …       そして … ワタクシは " ワタシ ” に なった … ― … ソノヒトが ソコに居なかったら  ワタシは きっと 耐えられなくて        1日でソコを辞めていた … … けれど そうして 護られたから つぎは … " 力 ” の ある " 主人 ” が          悪者に なる まで …  ワタシは ソノヒトと一緒に居た … ― ひとつ前の冬 … それは とても 短い間 だったから ワタクシは まだ その " 別れ ” が 受け入れられなくて   … 主人 に?    ナニカ されたの かな …     ワタクシと 離す ために … ワタクシが家の中では ぼんやり      していたのかもしれないけれど いっしょに 暮らしていた 小豆シバが 旅立って もうすぐ 1年 シャワー後の カラダを 乾かすために リビングに ワタクシが独りで 居ると     … カ っ シャ ァ           カサっ カサァ … " ぇ! ”     … ん ? な に ? …           聴こえ た ? …  いままで こんな事  なかった ?  よね … ワタクシがソファに腰かけている時に?               ふと …  気づいた … あのこ と お別れして 初めて迎えた もう 寒い季節 に …              その 音 …      … カサっ カサァ … って … なんで ?…       ワタクシ 独りなのに … どうして …       音 が ?  で … それ … の ? その音 が 聴こえるのが         気になって …          だって ヘンだし!               それ に! その音 は …       たしかに 以前は 何度も   このリビングで聴こえてた 音 で あのこが  フローリングの上を歩く時に …  ワタクシを目がけて走り出した ら … 聴こえてた 爪 の! あたる 音 … それが ? 聴こえるなん て … もう 1年に なるの に …          その音 覚えてるから          あのこを 想いだす … 独りだから  ワタクシが動かなければ 音なんて …  なにもしないはず なの に …         … カサっ … … ぇ? … ほら ! また … ❀.      ぅ ! … ふっ ふふふっ …    へぇー  不思議 ぃ! これ …  恐くないし       ゼンゼン 嫌じゃ ない !          そ ! ワタクシに           逢いに来てくれて ! うん … そ   嬉しくて …                  その音のほうへ … 聴こえたとたんに ワタクシは 振り返る! だって 怖くないし! … カサっ !             !ぁ…     『 … は いっ!』   珍しく ワタクシは 声を 出した その音 … 儚い? くらい … 短くて 小さくて スグ なくなる 音                だけど それでも … それ !     聴こえた ら !              そのたびに   ワタクシ 口元が緩んでしまう …  でも … 独りのときに はっきり 聞こえ る その音 聴こえだして 30分程過ぎた頃         解ってしま って … あ …  そう … 目の前 ! テーブルの上に置いてある ケースに 入れる 前の    ティッシュペーパーの 透明な袋の 音 … それが この   寒い日には かたくなって て … そこに ワタクシがリビングに入った事 で人感センサーが反応してエアコンの風 がワタクシが居るソファ近くに向きを変 え             その風が 目の前のテーブルにも当たって   だんだん それが温まると そう …     … カサっ カサカサァ …               って …            音 を 出してた でも …  そっくり …  同じ  なの …  あのこの 音と …        そう … 聴こえ る … だから …  その音が聴こえたら あのこ が  一緒に 居る気が して …  ワタクシは 口元が緩んでしまう … なら …  いいの …        それが聴こえた ら …            目を閉じて …      そっちを見ないで ! しばらく ジッとして  静かに して る …           こんな家でも! それが 心地よい          時 に なるから … ぁあ … それでも … どうしよ … 今日は これ … " 清掃さん “ が きっと ケースにセットしていくの 忘れたからなんだけど  このまま ティッシュペーパー 使ってたら …       どんどん なくなって … このティッシュペーパーなくなったら この袋 も …       だから … また … この音 しなくなっちゃうの に … ん … うん …         それは そう … で … で … も …          ぁあ … なんだ …        そ …  … かぁ ! これがなくなったら … また … 同じ の ! 買いに行けば いいんだね … そしたら また …        この音 が …  … どこの店で?         これ 買えるかな … ワタクシは 清掃さんタチとはお話しで きない し だって この家で 主人が居ない時に ダレカと?    お話なんかしたら! それ 主人に知られたら … その清掃さん たぶん …  " 外される “ かも ! だし …    ワタクシ そんな 余計な事 ?            できないし … これ … 現実 そんな カンジ …          でも …          音の正体を知ったら なおさら … ゼンゼン違うのだって     分かる けど …         あのこが居なくなって            初めての 冬 … 初めて 聴こえた この音 それ 偶然 なの かな …             ぁ も! それ           どうでもい ぃ … だって … この ! 寒い季節 の間  は …        きっと その音に乗って     あのこが ここに … また … なら … " 望み “? 持って  い          よ …        ワタクシは きっと …          次の 2回目の冬も このティッシュを テーブルの上に置いて        気づけない ふりをして あのこの ことを ここで …            想って いる …      って … 思ってた … ―               … けど 『 いいよ …   ベッドから出ないで … 』           「・・・・・」 ワタクシは " そんなことを云う ” 12歳上の主人に 無表情のまま で      「 おはようございます 」 すらも … 云わない で        だるいカラダを休めるため         に ただ 目を閉じる だって  主人は 夜 ベッドに入れば ワタクシを抱き 朝 ワタクシが目覚め るとまた ワタクシを抱く から …        ワタクシは だる い … 主人は 事 が 済むと ベッドからガサゴソと抜け出し 満足そうに息を " ハァ---! ” と 吐くと 振り返り  いったん バサッ! と          布団をゼンブ剥がすと   自分の体臭が残った シーツで    そこに横たわったまま 動かない      ワタクシの カラダ を …  まるでラッピングするように 丁寧 に  そっ と シーツを カラダに添わせ ながら 包み込むように 折り 上げる そうして包み終わると また 満足そう に              優しく    … パサっ その上に布団を掛けて 自分だけ 寝室から静かに出ていく   主人のそんな手で " 隠された ” まるで  " 繭 ” のようになったワタクシは  布団を剥がされた一瞬は きゅうに 動いた空気にさらされ           … びくっ!        カラダは固くなるけれど 静かに主人が出ていく頃には 呼吸が浅くなる  嫌な 主人の残り香にしっかりと包み           こまれているから    もう ぼんやり としてきて … しだいに … 意識は遠くなり … ❀❁. … 次に 殺される のは …       きっと そう だから …  だって … これは あのこ の 最期と同じ姿 … " ワタクシは シーツにくるまれ ”     それ を 想像させられ て いつか来る その時 を     " 覚 悟 ” させ ら れる …  ワタクシの朝は この繰り返し … それは " 恐 怖 “ で? " 絶 望 ” で も …  … もう なにも 感じ な い … ただ …  ワタクシは 無気力に     もう 眠りの中 に いる …         これが " 朝 の 事 ” … パタン 寝室から出て往く 主人は もちろん 今日も仕事で ワタクシが そのまま 横になったまま 起き上がらないから  独り 朝の身支度を整え  自分で入れた黒いコーヒーを口に含むと そのカップと 一緒に玄関へ進み              … ゴクっ !ゥイ---ン お気に入りの肌触りも良いカップと共に   スポーツタイプの黒い車に乗り込み ゥイ---ン! ドゥル ン        ブゥォ ――――ン!           仕事で 出て往く その 耳障りな地響きするエンジン音も 主人と一緒に動いていた 拡がって漂う 大人なコーヒーの香り も  音の漏れない " 特 注 ” の ドアが閉められた 寝室のベッドの中に居る              ワタクシには             届いてこない        ワタクシは そこに独り           「・・・・」 夢の中でも 起きていて も  独りだから ワタクシは もう 動かずに なにも 喋らない そう … 家の中も  ワタクシ 独り だから まわりには なにも物音もしないし  ここは静か ― そんな ここ は  日本で一番大きなデべが開発した       横浜のニュータウン  家の敷地は 150坪ほどで 輸入品を多く使用した         家のグレードは高く  セキュリティーも ここ一帯  大手のセキュリティー会社が 24時間 パトロール巡回もしながら 専用の防災 センターも設けて     管理してる           家の鍵は電子錠 … まるで日本じゃないみたい な …  主人がこの家を購入し ここで生活を している  " 事 ”  を この セキュ リティー会社は シッカリ と デべから引き継ぎ  いつも気にかけ この家の購入時に 主人を  " 調査済 ” のこの            デべは       主人がここに住み続ける事を 自分たちに 善いように    意味づけよう と 「 こちら お住いの具合は   いかがでしょう …   不具合など お気づきの   事 が 御座いましたら    すぐに 御手直しを    させて戴きますが … 」         「 ん …           ありがとう … 」 その会社のお偉いさんの方々が ときに 黒く光るピカピカな車でわが家へお越し になって 部下ともども   玄関先で 黒い服の主人 と 白い服のワタクシに 頭を下げて挨拶をする事 も             何度も ある そんな … ここの家はどれも立派で それらの家に は 凄い車が 何台も留められていて… それなのに  そんな中でも主人は " 別 格 ” で … けれど それほどな ご近所の方々 … ここは このデべに 選ばれた者 だけが            暮らしている … それほど な ここの方々は " 電車通勤 ” を 必要としない方々     で …  お隣 川崎の大手電機メーカーの副社長 さんや 東京国際空港に乗り込む飛行機 が待っているパイロットさん  近くの大学の教授 いつも忙しそう に 世界を駆け巡っている外交官のようなお 仕事をしている N●Kのご主人に 横浜を中心に全国で活躍している弁護士 さん の方々 や … 横浜にチームの本拠地がある  だれでもが知っている 有名な野球選手や サッカーのプレーヤー とか … 撮影スタジオまでの アクセスも 良いからか ? 名の知れた 男優さんや 放送作家の方々も 居る そのせいか  ここの宣伝にもなるからか 近所で ドラマの撮影をしている事も ある そんな環境の中の生活 では  主人の " 格 ” の ため にも なにもしない    ワタクシ … それでも " 夜 の 事 ” の ために … ワタクシがこの家の中で 唯一 あわてて動くのは この時 だけ シャ----------! 今日も 主人が帰ってくる前に その 時間を気にしてシャワーを済ませる …         「 ふぅ------!」 ― ワタクシは 夫のことを ヒトに話す ときは " 主 人 ” と 口にする 主人は ワタクシの ことを ヒトに 話ときは " 妻 “ と 口にする ワタクシは 主人が稼いだお金で生活し 日々のほとんどの時間 この静かな家の 中だけで生活し 主人が帰ってくるのを いつも 独り なにもしないで 待って いる       主人の気に障る       余計な事をしないように … そうすると … 月に一度 主人は ワタクシの目の前に 一万円札紙幣を 30枚置き 「 今月の分だ … 」と 一言 添える    このお金は ワタクシのお金 で ワタクシは 妻だから このお金をもえ る              らしい でも … このお金は …  ほとんどワタクシは 使う 事が無い 生活費は 主人がいつも 知らないうちに支払い ここでの 管理費 光熱費 上下水道代 税金など と ワタクシが利用している 各家事サービス料金を主人が毎月支払っ ている事は       知っていても それらの 金額を ワタクシは 知らない ワタクシは ここから離れた外に 買い 物に行くときは たいてい 主人が一緒 なので そこでも主人が会計を済ませる だから  このお金は 毎月 家に来る 信用金庫のヒトにゼンブ 渡す        で … 入金されるのは        ワタクシ名義の口座だけど この信用金庫のヒトは 「 ご主人様に宜しくお伝えください 」 と         ワタクシに 謂う ワタクシは  平日の昼間 は いつも  独り だから " ひま ” で " 退屈 ” だから 独り の時間を持て余し 外に散歩に 出る事もある         けど 独りで歩いていても ここのヒトタチは 自分の足で 歩く 身分ではないから ほとんど 誰とも            出会さないし  たまに遭遇しても ここの奥様タチ は  ワタクシよりも かなり年上で 話 が  合わない し …  ㇷワㇷワ 〰 プラプラ 〰 そんなカンジで歩くワタクシに向かい A「 あら …     ごきげんよう    お散歩 ? お独りで    身軽なのね! そ!    貴女 ご主人様に    " 守られてて ”       でしたわ ね!    良いわね そうよねぇ         だから …    何も しなくても      いいんでしょ! 」               とか …     B「 ご主人は貴女が        可愛くってしかた       ないみたいね 今日も             貴女ったら       そんなに かわいい       カッコなさってて …       どこのお店のかしら!       ま … それも … あの       ご主人 の 趣味かしら        ね … そう よね …」 C「       あら?   運動なさってるの ?   ぁあ … そうなの   そ の 魅力的 な   スタイルのためにね!   偉いわね … 貴女 …   ふふふ … そんなに ?      ご主人 に ? …」         … ですって! …         … ワタクシは  貴女タチ の 敵 でも  ライバル でも ないのに ? ここの奥様タチからは そう 視られて いるよう で … 歩いていただけなのに ?                      なんでだろ … すれ違うだけ でも ? なら ワザワザ 話しかけなくてもいいのに ここのヒトタチカラ ワタクシ    蔑まれて いる ? たぶん … それとも … コノヒトタチからは ワタクシって 毎日 楽しそうって ? ここでの生活 幸せそう に ? 見えるのかな ? … そういえば … 新婚 ? 当時 主人と一緒に並んでいるときだって … コノヒトタチ 『 まだ学生さんかしら ?   お若いんですよねぇ! 』    『 まぁ ! !       お嬢ちゃま ? ね!      あ ? やだ! 奥さま ?      です こと … よね ! 』 ここに入居シタテ の 頃から       そう 云われて た な … 主人とワタクシは なにもかも が 違い過ぎて いて 最初から ゼンゼン  夫婦 ? には見えないみたいだった し あ ? で … 主人は そう云われた時には ニコニコで 嬉しそう ? だった っけ … でも それだって それが 主人にとっての ワタクシの 存在価値な ら 年下は 変わりなく ずっと 同じだけ 年は下だけど … ワタクシ も 26歳に なって る           シャ----------! シャ----------!            … キュ! … バッサッ!            … あ!… いつも 同じ … セットされて る バスタオル  主人のは 黒の色 で ワタクシのは いっつも 白 だ な ❀❁❀.            ぁ------あ ! ここは 横浜 なのに … な … ― こんな … 港から 離れた  " 山の上 ” の 空気は ワタクシ 嫌 になる事もある     ワタクシはここから離れようと          車を運転してみても  それでもやっぱり 独り だと ツマラナイ …               それに …       この車はワタクシのだけど  居心地は良くはなく  そんな車の手入れも してあげない  なので この 白い車を ワタクシは       ただ使い 管理をしていない 好き勝手に使ってるけど そのために減るガソリンの給油にスタン ドに寄る事もない し いつも磨き上げられた ピカピカな車の 中も そうした管理をしている  その ヒトタチノ 匂いがするよう で  これも どうせ ワタクシだけの 匂いにはならないし … で … この車と一緒 ? の ここの中で管理されてる ワタクシは             気晴らしに 主人に内緒で なんだかわからない 必要もない物を たまたま 入った店で 買う事もあるけど    そんなときは 支払いは card か 電子決済で済ませ この引き落とし口座は 主人のだけど いままで なにかいわれた事が ない そ だから … そんな主人は いままで … なにも  ワタクシに怒った事もない     ワタクシは 困った事は ない ただ 今夜だって  …ドサッ と 大きなガタイなのに 上になり   ワタクシのカラダがそれで沈んでも 「・・・・・」              「 ぅ…」 そこだけには 乱暴に 主人は  自分を圧しつけてくるから ワタクシは 硬いまま 柔らかくなる前 なのに 無理やり 開かれ入れられ る 「 ㇷ…」              「 ぁ…」 — まるで 四肢動物 … 動物で例えると 主人は " ワニ ” みたいなヒト  その顔 も 口は 大きく 目つきは 鋭く まさに そんな カンジだし … その 動き も … まったく 動かない と 思いき や " 獲物 ” を 捕らえるため に は 予測できない ほど 急に 機敏に         素早く 動く から …   不気味 … それに 12歳の年の差は かなり だし 何事においても 経験の ? 差も ワタクシは なにをしてみても 主人に 勝てる事 は きっとない … ― その ワニ みたい な 主人は 不動産鑑定士 で             凄いヒト … 神奈川県庁と 横浜地方裁判所と  横浜市役所と 横浜地方法務局の 近く 家から車で20分ほどの処に事務所を構 えて             いる  この場所に 主人が居るせいか 県庁の ヒト 市役所のヒト 裁判所のヒトタチ が               よく 主人の事務所へ足を運んできては  主人のことを ” 先 生 “ と 呼び そんな主人は 国内の どこでも  " とくに大きな ” 相手の仕事 しか 受けな い その 不動産鑑定士事務所には  事務や調査アシスタントの女性が5名と 不動産鑑定士が3名と 協力業者の方々 も出入りしているし 新人不動産鑑定士 が県外からも勉強にやって    くる ワタクシも 主人と結婚するまでは そこで働いていた でもほんの半年ほど 大学を出て スグ 主人の事務所に就職 したワタクシは 朝は電車通勤で事務所 に出所するけど       帰り は  そこの代表の この " 先 生 ” に ご自慢の車で送ってもらって帰宅してた 最初からそうだったから なにも     " 特 別 ” だとは 思わずに … そして  ちゃんと家まで送られるから 先生は玄関先まで一緒に来て 出迎えた 母親に挨拶して … その挨拶に 何の意味 が あったのか ワタクシには 全く解からなかったけど ワタクシの意思 ? は 無視された               まま ? その3か月後には 結納の日 があって そして        その3か月後に  " 先 生 ” と 結婚 した        そんな結婚までの間 は   あまりの速さに ワタクシ自身 は  なにを ? したの ? かも           覚えて ? いない し  だからきっと ワタクシは その間も なにも         していない … って … いう の は ワタクシの 逃げ で 実の母との 関係が悪かったワタクシは このとき なにも気づかないふりをして  流され た のが ホントの とこ で それは 母から 離れたかった か ら  だから いまは  主人と上手くいっていなくても  この実家には戻りたくはなかった  その ワタクシの 心の 雑音を 主人が知っているのかは判らない  けれど  主人は ワタシが出た後 独りに なった母の生活をずっと援助している                 から  ワタクシは   主人から逃げられない って 義務? みたいな も の?             縛られてて だって …  母が 苦手だった けど あのヒト やっぱ 母 だし …            そんなカンジ しかも ? ワタクシが  愚かなのは あのとき 主人は ドンドン 話を進め 手続も サッサとしてしまい 役所への届出も ワタクシは  一緒に行って ない し それに … ワタクシ 婚姻届 ? 署名した記憶 ? その用紙 ? 目にした記憶が ない … そんなんだから ワタクシは 主人の事 実は それほど 知らないし      ワタクシが主人 の “ 何人目の妻 ”? なのか も            知らない          だからワタクシには 主人が ホント 不気味で    どうして善いのか分からないし 主人の周りのヒトも         そんなワタクシに は 主人の事を なにも 教えてくれない し 気遣っても くれ     ない でも … 横浜のホテルで挙式と 披露宴をしたのは覚えてるから  結婚はして る " それ ” が 心配になったときもあるけど ちょっと前 ワタクシが貧血で倒れたと き 運ばれた病院で出された ワタクシ の保険証は 主人の姓になっていたし              なので … あ … 就職の時も ? ワタクシ 奨学金だったから 学生時代は頑張って勉強してて … 主人の事務所には 教授の推薦で 「 あそこにしなさい 」 って …       だから 面接受けて         入った け ど それも …  大人同士で 決められてたのかな …    考えるなら そのときだった           って 後悔 … だって … 事務所に入ったから こう なったんだし … も少し 考えれば良かった けど ね … 教授推薦は 断れないじゃん ね しょうがない ? しようが ない ? ゼンブ 受け身 な  ワタクシ … ― 社会人だったのも タッタ 半年 … だから ワタクシ なにもできないまま 大学を出るまでは実家に居たから  子供のままで 社会人 ? は  半年で終わったから 職場でもなにもできないまま で …  そんな実家を出てスグにこの家に入り        結婚して家の中に居ても  主人と二人の生活は ほとんど 主人の居ない毎日だし … だから あのこ と 居たのに ほんの一瞬? だったな それは … 主人がワタクシに与えた者だったから 主人 考え た ? この家にワタクシが慣れるまでの間 ? の ための者 ? だったのか な           だから もう ? そんなに寿命は短くないはずなのに ?      居なくなっちゃった し で 主人はいつも 夜に帰り  朝 出かけて往く の で  ずっと ワタクシは 独り で   することもない し … この家での生活 … ホント 静か …     家の中には ヒトが居るのに … 洗濯は クリーニングのヒトが 家まで 集荷に来てくれるし その納品は 玄関 横のWICに入れてってくれるし 食事 は 主人 家 では 食べないの で ワタクシだけ だから          ケータリング で … 担当者はワタクシが寝室に         " 隠れている ” 間に    ワタクシと顔を合わせる事もなく キッチンで支度をし ダイニング に       セットして 帰って往く …  ワタクシはいつも黙ってドアのロック 解除をするだけで そのとき だって ソノヒトとは なにも 話はしな い そのほうが ソノヒトたちも      仕事が しやすいようだし 家の中あちこちにcamera を設置して  監視している 主人も気分を害さない だから 主人は安心していて いつも同じヒトタチが 居る で …   家の冷蔵庫には 飲み物 だけしか 入っていない なので ゴミ出しも  ワタクシはしたこと が ないし  ハウスクリーニングは 主人とワタクシ がまだ寝ている 早朝から たった2時 間で 家じゅうをピカピカに   する  白いフローリングは 何年 経っても              白いまま … そんな凄腕の業者が入って いて … バスルームは 黒一色 の大理石 で ソファ も テーブルも ファニチャーは 黒か白 の色 だけ 寝室は …  天窓だけで 壁に窓がなく  外からは 通り過ぎるだけじゃ 見えないけれど この家 どの窓にも カーテンは  ない から か 生活感のない モデルハウスみたい … だし ワタクシは … 気晴らしの散歩 以外 主人が 休みの日でずっと一緒に居る日 とかにしか 昼間 も 寝室のベッドか ら は " 出 る ” 事は なかった なんなら 素のまま 寝室 で 夜の事 の 前の シャワーまで … 主人が 帰ってくるまでに シャワーを 済ませて その體でベッドに入り … そして 食事を済ませてから帰宅してく る 主人に また 抱かれる 毎回 … ワタクシが先にシャワーを済ませて        待って いるの は    主人を立てているのではなくて バスルームに残る 主人の匂いが苦手だからで         むせ る から …             だから …    抱かれて る の だって    もちろん 感じて ないし … 主人が顔を寄せてくれば   ワタクシは 顎を引き   口は開かないように 歯を強く   合わせ そのせいで唇は震えても      カラダはそれで硬くなる … それでも … 主人は なにも ワタクシの気持ちとかを 訊かないヒトで 自分だけ いく … … そんなに 気持ち いいの ?            ワタクシが        感じ て いないのに … その繰り返し ワタクシ からは 主人に近づかない し なにも 主人と 話す事もない ― これって … ワタクシは動けるから お人形じゃない けど … ワタクシ 気ままな ?  いえ …  主人のために この家に居る 愛玩動物 みたいで しょ … 外に出なければ ワタクシには 服もイラナイ 喋れなくても困らない ここの静かな時間は 長い けど それだから …  ワタクシ … は … こんな生活 … って … … でも な …  こんな 事に なったのは 打算的 な ワタクシ だから で          自分が悪いから だから タスケて! って ヒトに云えないし きっと ダレ も 助けてくれ ない … ワタクシ …  なにもできないから な … 頭も良くないし それに 愛想もない し … それでも … 外で …  働いてみようかな … そしたら それを理由に ここ 出られる から … お母さん ゴメン … なにも考えなくても善いかな … だって 家の中 空気 おもい … ワタクシが可愛がってた あのこは もう  いなく なっちゃった から … — ❀❁❀❁.        … 大丈夫かな …  ワタクシは 主人にどう話すか …              悩み …       … いま か な … 「 あのこが居なく   なったから   独りぼっちだし 外で      働いてみたい … 」 それは主人が 疲れて帰った日  もうきっと 賢い頭も働かない ほど 自分のやりたい事 だけ やって やすみたい だろうと 思っている ? その夜の事の前に ワタクシは       ベッドで 呟いてみた … 「 … ん 」     「 ありがとうございま … 」 … バサッ … 『 … ほ ! ら !』      … ぐぃっ            「・・・・」 …ギシギシ…     …ギシギシ…        …ギシギシ…            …ギシギシ…  「 ふ‼ … 」            「・・・・」 「 zzzz…ZZZ…」            「・・・・」 意外にも … 主人はワタクシが外に働きに出る事を         反対はしなかった … … こんな に あっさり ? …          … なん だ … … でも … 次の日になれば いくらでも … こんな事にも 主人は考えたのかな … ―         ワタクシは スキル      何もなく 新卒でもないから … 自分で云ったのに   すぐにできなくて    カッコ悪い な … ワタクシが まだ家の中で ボぉ~ッとしてる間に         そんなだったから ? 主人は ワタクシの働き先を さっさと 見つけてしまい … ワタクシは … また スッキリとはしなかったけれど ちゃんとした理由で 毎日 長い時間 外に居られて たくさんのヒトタチと 交流できれば …     それで … 善い … と  その事 できそうな 仕事 だったから … この主人の " 妻 ” の まま だけど             ワタクシは      ハウスメーカに契約社員で入り 営業事務として 横浜の郊外に在る大規模な テーマパークのような住宅展示場に " 飾られてる ”   モデルハウスに配属された … そこで 働いて  何か資格を取って それで転職して       自立すれば善いよね …      そんな 事も頭に置いて …          ワタクシは 主人の       決めた話に 従う事にした ― … 新しい とこ   どんなとこかな … それでも 初出勤日 近くになると        ワタクシは 単純に 嬉しかった … … 外に出れば そこでは人として ?   人間として ? 扱ってもらえるし … それでも この主人の事だし … そりゃ いろいろ 心配 ? も したけど     聴いてみると そんなに     悪い条件でも なかった し … そこへは 車通勤で    朝 バタバタの ギュウギュウの        煩わしい事は無かったし 朝9時出勤 夕方6時退勤 土日祝日は休みではないけれど 残業はないみたいだし 疲れなさそう… でも … この仕事は  主人の力で得たのだし  派手な事ばかりするから この業界で は 顔も知られた 有力者  の 主人は ここへも 堂々と 現れる            だから それは             保護者のようで           嫌 だった けど それは主人の想定外 だったのかも … なにもできない ワタクシだから ここでの仕事は長続きせずに そのうち って 思っていたのか … でも なかなか仕事を辞めない ワタクシだから  主人は諦めた のか 自分が忙しい のか ここへ現れる事もなくなり 主人の監視 camera が無いここは          ワタクシにとっては     自由に呼吸ができる処になった              はずだけど ― でも世の中 そんなに甘くない そんなに簡単に ハッピーエンドにはならない そうみたい …  それは初日から 容赦なく … ―          「 失礼します 」 …パタパタパタ! 「 あ ---! ちょっと!   普通! 裏からでしょ!   玄関! 汚さないでよ!   にぶぅ! " 裏 ” に         廻んな ‼ 」         … え ? 怖っ … …ずりっ  ずりっ… それは 瞬時に 二歩 ? くらい ?    あとずさり する ほど の …        「 すいません … 」 「 え ?」 カノジョ は ワタクシを睨みつけ ながら 首を傾げた …       「 裏に回ります … 」 …タタ タタタタ… … 裏口 ? どこ ?…   でも はやく動かなきゃ … ワタクシは 初めて来たところだから キョロキョロしながら裏口を探し …        … ん ? ここかな … 裏口は とても小さな扉 … …カチャ         … ピンポン ♬ … あ ? 音 ? ドア開けると ?    センサー ? 鳴るんだ …       だから ? …    さっきも 鳴ったのかな …        「 失礼します … 」 ワタクシは頭を下げながら 足元を確認しながら  自分の靴を脱ぐ場所を見つける         ように入って … …パタパタパタ… 入って すぐ の 目の前は    事務室に なっていて …         …パタパタパタ…     …パタパタパタ…  … あ … カノジョ ?   また ? 走り寄ってきた … … 小さいサイズのヒトだな …     … 可愛いぃ … カノジョ … その … スリッパで 駆けてくる ?   音や 仕草も とても可愛いぃ …               だから     コンナ事するの似合わないのに ? … なんか 一生懸命に ? その童顔な ? カノジョは まん丸な 大きな目をさらに大きくし … 眉を上げ ワタクシを 品定め するよ うに ゆっくりと 下から頭のてっぺん その髪型 ? まで " 確 認 ” し 「 … へぇ---- ねぇ    奥様だってね " あの先生 ” の!   悪いけど !   あたし ぜんぜん ! それ !   恐くないからさ !           ね ! あんた   車通勤だけどさ  " あの車 ”    ウチなんかのじゃないじゃん   ドンビキぃだから電車で来なよ !   新人らしく さ !  今日は ま   来ちゃったから! 仕方ないけど!   もっと ! 離れた目立たない   とこに留めなさいよ " 迷 惑 ” !」 ? … え ?  あんなとこまで ? ミテタの ?… でも … あそこ は … 事前に 総務から聴いてたか ら …          なんだ けど ? … アイドル顔のカノジョは     … こんなにかわいいのに ? … どうして か ?    こんなカンジで … ワタクシは その時の 人事担当者からは カノジョ以外 は      男性ばかりって聴いてて … ワタクシ … お仕事も 集団活動 ? も 久しぶり ? よりも 何年も か! ぶりだから     ほぼ初めて で      それは 心細かったし … ヒトと触れ合える の は  期待 大で 心待ちに してて  それ 嬉しかったし … だから このカノジョ と 逢えるの 楽しみ に めちゃ 仲良しになりたかったのに …            なんでかな ?        … 難しい ぃ ? … それに … 云われたワタクシが自分の車を留めた とこは住宅展示場 場外の離れた場所              なのに …  同じときに カノジョ ?    それとも ここのダレか ? が  出勤 ? で 居たのかな ?… なぜか    カノジョは車の事知っていて …        ぇ ? 違和感っぽぃ  …               それは … もう すぐ 春が来るころに 生暖かい風が急にとても強く吹いてきて  それにカラダがゼンゼン         馴染めない みたいに … ❀❁❀❁❀.       まだ … 「 初めまして … 」 の 挨拶の前 なの に 靴を脱ぎ バッグから 焦って 出した  持参したスリッパに履きかえ中のワタク シの背中に さっそく  冷水がかけられ た             みたいに   強い言葉が飛んで きてた … … 留め直し ?   いま 往った方が良いのかな …     「 は ?       す いません ! 」 「 え ?   な に ? 」    「 はい ?      あ … 初めまして ?          本日から … 」 「 ちがう ! 」 「 ね ! " すいません ”    じゃなく て      " スミマセン ”   だ ・ け ・ ど !  瞳が茶色 ね あんた   日本語ワカラナイの ? 」            … え?… ワタクシはビックリして 初対面の  カノジョを 見つめてしまい … 「    ヤメテよ !  " 睨まないで ” よ !  態度 悪ぅ !        や !  あ ! ねぇあんたさ?  あんたみたいなの  なんで 働く の ?  奥 様 の !     ひまつぶし ?  や ! だぁ⤴  どうせ いまさら  働き出しても   な~ん に も !  できないくせにね!」          「 いえ …」 「 え ?  " い え ”? そう ?   たいした自信ね !」    「 いえ ! そうでは       なくて です !」 「 ほら !  " 日本語 ” !   おかしい ! 」      「 スミマセン … 」   … そうなんだ …      上手く いか ない …     ワタクシは やっぱり ?       甘かったのでしょうか この世の中を ナメテいたのでしょうか …           … け ど ? ― 『 うるさい ぞ !  電話に声が入るだろ!  じゃま だ !       だまれ ! 』          … え ? … " それが! ワタクシにとっての     運命のヒト との 遭遇 “ そぅ … 自分だって大声を出しながら 営業担当の ソノヒトは ワタクシの前に すぅ~っと  さりげなく ? 立ち …  その広い胸 で カノジョ と ワタクシ の     間に防音壁を作るように ? クルッと 振り返る と! ポカン! と 立ち竦むカノジョを 不機嫌そうに 睨みつけ !         " 登 場 ” した! ❀❁❀❁❀.❁    … あ … 強い な コノヒト …            … ペコリ … ワタクシは頭を下げながら コノヒト の 方へ        向き直した        「 スミマセン … 」 「 じゃない から!    あ ? 貴女は ?」 … え ? … いま … 見てた んじゃ ない の?  ぅわ ! … コノヒトって 不思議ぃ …    なんで … それ 訊く の? あ ! … それほど ? その 大事なお話 の ? お電話に 集中してたのかな …            そ … ここは      " お仕事の場 ” だもん ね …             … フフフッ♪ ワタクシは ソノヒトのおとぼけ顔に   ホッとして つい笑顔にな る … 「 ん ?」     「 あ はい !       初めまして       本日より営業事務        で入りました … 」 「 そうか !   待ってたんだ !     ヨロシク !」     「 はい!       宜しくお願いします 」 そして ソノヒトは営業担当らしく 爽やかな 微笑みを魅せてくれたし        ワタクシの腕を攫んで             引っ張り …  …スタスタスタ…       …ペタペタペタ… ここの  皆さんに向かい … 「 おい ! なぁ ---   かわいい営業事務のコ         来たぞ !」      「 ぁ? の … 宜しく          お願いします!」 …ガタガタガタガタ… 「 よろしく! 」    「 宜しく! 」 「 よろ …」      …パチパチパチパチ …パチパチ    パチパチパチ!…          … ぁ 良かった … そして …       ワタクシは ここでの時間   ( 主人が 顔を出さない日には )  その主人を忘れる事が できた し …    そ!    " とうとう 始まった ---!”             な のに … ― 第二新卒とも謂えないけれど まだ 謙虚に頑張れる新人として ワタクシは皆に歓迎された と         思っていた けど … 初日から     こんなカンジで … カノジョ …  その時だけ じゃなく ワタクシの前に 度々 立った …  その カノジョ は  " インテリア担当 ” で ご契約済の お客様に ここへ来場していただき お部屋の仕様 色決め や オプション 品などを お客さまと打合せし カーテ ンや 照明なども 一緒にご提案をする それに … 営業事務のワタクシが入るまでの間 ここで 事務も兼務していた  仕事が " おできになる方 ” で       ワタクシよりも 年上  ですが … なので? 下の者には 手厳しく? なのかな なぜか 最初から       全否定されてるような気が       これに … 合わせるのは …           どうしたら …               ワタクシは                 悩み だって … 平日のモデルハウス 来客の影がないと     ここでは このカノジョの声が 響いていて … 「 あのさ … 事務で   入ったったんでしょ   この伝票チガウじゃん  " 雑費 ” !      " 消耗品費 ”!  チガイ! ワカラナイ の!  これじゃオチない よ!         やり直し!」        「 スミマセン … 」 ― 「  あ の ね !   雑巾は ! 雑巾で !   テーブルの上を拭くのは   キッチンクロス !   台拭き ! で ! しょ!   あんた !! いくつなの?    小学生でも 判るけど !! 」        「 スミマセン … 」 ― 「 やだ!   お茶出ししたら   すぐ ! チャッパ       捨てない !   まだ ! 何杯かは       とれるでしょ」       「 スミマセン … 」 ― 「 ぁ------ あ !  イツマデ掃除してるの?  やってほしい事       それじゃぁー  ないんですけどぉ― !         " 事務 ”  なんででしょ !  は・や・くしてよ --- !」       「 スミマセン … 」 ―         そして とうとう … カノジョの 感情 ? は 仕事上の注意に留まらずに … 「 ね ! それで ?   なにもできないのに  給料もらうつもり ?       そもそも ! " 奥 様 ” なら         " 金 ” !      イラナイじゃん!  皆にさ " 申し訳        ございません “  て ! 頭下げて さ    " 寄 付 ” しなよ !」        「 スミマセン … 」         とかにまで発展し … なんで ? こんなにまで も …          なの です が … 「 あ! 30前 !   だっけ ? デショ!   27 ? だっけ !   なのに! その聲!  べちゃべちゃさぁ !   耳に入っただけで      やぁあ---!  聴きたくない!    吐き気がする!」        「 スミマセン … 」 「 あのさ!   いつまで来るの ?   辞めればいいじゃん !      若くもないし !   とりえもない し !       帰れない ?  なら ! あの !       " 先生に ” !     " お迎え ” !?    来てもらえ ! ば?」          「・・・・・」 ―              ワタクシは        カノジョの言いつけどおり      " あの車 ” での通勤を止めて        電車通勤にしてたの に?       … じゃない のかな …     … どうしたら 善いの? … それに カノジョの声は       大きすぎて … ここはモデルハウス の 14畳ほどの狭い事務室 その中で  皆さん 電話対応も それぞれのお仕事もしていて       で … とうとう …           『 ガタっ!』 『 バサッ!』 また ?        コノヒト … ソノヒトは  勢いよく席を立つと  desk 上の ファイルを       カノジョの desk に          叩くように乗せ 『 おい !   いい加減にしろよ !   おまえ ! 見苦しいぞ !          何様だ!』 その投げ出されたファイルの表紙には " 社外秘 ビジネスマナー 【展示場】”        の タイトルが あり … ここは 狭い事務室 だから おのおの  席に着いて静かにしていたヒトタチも   それが 目に入った途端 嘲笑し … その漏れた声が響く中 カノジョは顔が 真っ赤になる …     ワタクシも 驚き 立ち竦み …      … え ? ど し よ …            … アタフタ …       … キョロキョロ … でも じゃないです? こんなに?  狭いところで こんなに派手にだと …       ここでは まだ ワタクシは        自分の置き場所がなく … まだまだ そんな状態なのに なのに … 思いっきり こっち寄りに          されてしまう と … ワタクシも " この場 ” で どうして善いのか分からず カノジョと 同じに      顔が真っ赤になり … なんでだ か ?   恥ずかし くて … … でも! シッカリしなきゃ! …       助けてもらったんだから!      「 … ありがとう          ございました 」 「 いや !こんな事      気にするな !」 「 な !」 ―              そして … ソノヒトはワタクシの肩を軽くたたき 事務室から出て        往き 残された? ここのヒトタチ は  もう 静かに … カノジョを含め 何事もなかった かの 様に手元を見な がら自分の仕事に      戻って … けれど …            やはり ここは … 支店よりも 狭く その支店や本社から 離れている から?     なのか?             それとも … ここの皆さんは 車で身軽に その間を こまめに行き来している せいなのか?           こんな事でも?   噂は はやく そして …   広く ひろがっていく みたいで … その数日後 … ワタクシは まだ着任の挨拶もしていな い それくらい   ここには来ない? ここの 責任者 に  呼ばれて … ―           スタスタスタ … 「 ぁあ  お疲れさん …   ちょっと 君 いいかな … 」 ❀❁❀❁❀.❁❀   「         … は?     あ ! お疲れ様です       初め まして …     いえ … スミマセン…          大丈夫です … 」            カタっ…        ワタクシは席を立ち … 皆は それぞれの仕事に忙しく      だから ワタクシは これを       だれにも ことわらず …  皆も こちらを見る事もなく そのまま仕事を続けて 事務室に残っている なか           なので                   その責任者の後へ続き … スタスタスタ …         …パタパタパタ… ここは モデルハウス で その中は 接客スペースでも  " ときとして ” ここで働いている 者たちには     会議室の様に …タタタタタタ…         …トコトコトコ… 2階の リビング横の  和室を使う事があって           ワタクシは …          ひとりだけ …    そこに連れていかれた … …すぅ---    「 カタン…」         … ずりずりっ… 「 ま …   座ってさ … 」          「 はい … 」 責任者は 慣れたように スバヤク 自分のスリッパを 見る事も     揃える事 も なく入り … ワタクシは それを 見たから 二組のスリッパを揃えて中に入り …            そこから ? ずっと この責任者に 視られてる ! から …     なぜだか それに対し ?     ワタクシは警戒しながら ?          目立たないように ?       音を立てないように!           畳に正座して … 無垢板のローテーブルをはさんで     この責任者と向き合った 「 ん じゃ …   ね … どう ?   少しは 慣れた       かな ?」         「 あ …            いえ … 」          … なんだ ろ …       ワタクシは 鈍くて        全く 気づけ な い … 「 … そうか   貴方は どうして   働こうと思ったの ?」           「 … はい ?」 「 … ん   まぁ さ … 貴方が   気づいてるか ?    分からないからさ …」             「 は ? 」             ワタクシが         やっぱり 鈍くて ? … 「 やっぱさ …   違い過ぎるでしょ   貴方は さ      " あの方 ”   後ろにいるし   正直 やりにく い   と いうか さ …   ボクも 困ってて さ 」           「・・・・」             え ? …     ワタクシ じゃなくて ? …        主人が なにか した? 「 … なんか さ   ここの空気 ?   悪くなってるじゃない   貴方は なにも ?       してないかも     しれないけどさ …」           「・・・・」    あ … 後ろに主人 だか ら?   でもこれは ワタクシ の せ い …             ワタクシは        なにも 言い返せない … そ … 周りの ヒト は   悪くない ね … コノヒト は 責任者 で … ここを纏めなければ ならない し   仕事では 皆に 結果を  出させなければ なら ないし … ここの 成果 の " 数 字 ” で 他に勝たなければ        ならな い し … そ … 来たばかりの ワタクシにだって そのくらいは 解って しまい … この責任者が 仕事の邪魔になる 煩わしい事を 省きたいのも 判る            … でも …       自分勝手かもしれないけど       ここで 働きたい な … あの家に     居るだけの生活は             ワタクシには  こうなってしまった ? いま の ここよりも       居心地は 悪い か ら … 『 失礼しま --- す !』          「 バタ ン!」       ワタクシが返事を 早く!            するように と?       視界が狭くなる ように ? しっかりと閉められていた ふすまが 勢いよく開けられ … あ … ふすまを閉めたのは ワタクシだけれど … 閉めなきゃだし  それで 密室になっちゃってたし … 『 リーダー          これ !  あんまりじゃないですか !  このコ 来たばかりですよ  なにか     謂うなら  あいつにじゃないですか ?』            …キョトン           「 … え ?」        まだ 聴かされたまま     なにも返事をしていないの に ?  ワタクシは思わず そちらに目がいき  それにはこんな声を出してしま い … … ダ ン! 云われた 責任者も 音を出すように   テーブルへ手をついて腰を浮かせ 「 ぁ⤴ あ ?   なんだぁ⤴ おまえ ? 」            『 ガタン!』 上司の威厳を見せたいの か ? それは 払うような勢いで  だから  畳の上では 滑ってテーブルが 動いてしまい …            「 きゃ … 」      ワタクシは その大きな声で        思わず カラダが動き           壁際に 退 き … それでも ? 気にせず ? その勢いのまま   『 いつも      ちっさい事まで     じゃないですか !     いうんなら !     アッチ に 謂えよ !』 … バタン! 仁王立ちしたままでだし … 勢いよく開けたふすまの竪縁をまた勢い よく戻して 柱にブツケ 音を 出し!  それで ? 自分の気持ちを ? その音と激しさで表しながら  ソノヒトは 入って きた         … え ? ワタクシ ?     の ? ために な の ?           わざわ ざ ?       こんな 事 ま で ?    なんで ? してくれる の ? …   え ? だって … コノヒト …  仕事は ? いま これ って …  来ちゃっ て ? 大丈夫な の ?      ワタクシは 驚いた けど …       こんな事も思って しまって …       「 あ …スミマセン         ワタクシが          ご迷惑 を … 」    条件反射のような言葉しか出なくて …          だから か な?   『 は ? 違うだろ     いいから それ !     君は イインダぞ!     こんな事 謂われたら      怒って良いからな !』  チガ ウ … だって …   なんて ? 言っちゃった ら?     それやぁ 責任者とした ら? 「 は ?   なんだ ? 俺 か ?   おまえ なに   熱くなってるのぉ      うるせいな ~ 」    『 なんですかぁ!          だって       チガウじゃ       ないですかぁ ー 』 「 いいから !   " 下りろ ” よ !  なぁ ! いまの時間     " 架電 ” だろ!  おまえ 自分の      仕事しろ よ  関係ないだろ !    でしゃば る な 」     『 は ぁ~ ?       仕事は しますよ        でも ! ここの          雰囲気 ?       悪くしてる の      このコじゃ        ないですよね !』         … あ … でも …          きっと これ …          コノヒト も          皆も 解かって           くれてて も … 「 はぁ---?   なんだよ !  偉そうにほざくな !     ん? ぁあ?  おまえ ら ?  なんなんだ よ  デキテンノ か ぁ?」         … え ?           どうして ? …         ワタクシはその展開に           一瞬 固まり …    「 ぁあ ⤴      なんすかそれ !」   ソノヒトは眉間に力が入り … その二人の 険しい表情が  イッペンに目に入ってきたワタクシは      … ぅ! わ … どうしよ !            これ って     ワタクシに 止められる の ? …            … オロオロ      ワタクシは 口が開いたまま      目をキョロキョロさせ      かなり おまぬけな顔のまま              立ち上がり 鋭い目つきで向き合ってる 怒っているせいか ? こんなに滑る畳の上でも  ? 踏ん張って いる ! 大男な二人の         傍へ             … フラフラ      畳だから ? 滑りながら …        往こうとしていたけど …  それよりも この二人の動きは速く …        「 あ ⁉         ワタクシタチは            なにも ! 」           言葉だけでもと          声は 発したけれど … 「 おっ !  " ワタクシたちは “      ってか ? 」 もぅ Switch が入った  この責任者は止まらず … すっかり 悪役 ? に なって …    『 チっ ガ ! な ん!       なん ! すか ? 』         「 違いますよ !」 … ワタクシ は この上司を  " 悪 者 ” に しないためには  黙った方が良かったのかも知れない けれど …     それすらも解らず … 『 あ---- !  おまえらふたり けっ!  揃えるな うるせぇ!  いいか !   おまえら  俺の店で " ヤルナヨ! ”     ちっ ! だから  嫌なんだよ 主婦は さ!』          … え! やだ …        どうして ここまで ?         なる の ?  か な …           「 ヒ ど … 」 それ を …        聞き流せばよかったのに?     ワタクシは そんな言葉に  思わず 反応して 声を出してしまい で … だけど … コノヒトに ワタクシの そんな声    届かなければ 良かったの に … 聴こえちゃったから また ? " 気遣い ” させて しまっ て … こんな に ?  ここ で ? そもそも ? 直接 は  カノジョと    ワタクシの問題に    関係ない 二人なの に ? 言い争い ? が  起こっ て …  しまう し …       ソシタラ もぅ! たとえ ! ここが仕事場でも ? たとえ ! それぞれ が " 接客のため ” の スーツで身を包んでいて も ? 二人の男が こんな     言い争いを続ければ            そ?  そうな っちぁぅ って ? …         『 お い!』 ソノヒトは 腕を 伸ば し …      もう 上司も部下も なく         止まらな かった … 「 ばさっ ! 」      … ぐらっ       『 ド スン ! 』         『 きゃ--------!』 『 て めぇ ! 』     『 なんすか! 』     …ドシン!  …ドシン!        「 ガタン !」 …ドシン! 『 てめーら   くそ が ! 』      『 うるせー ! 』 …ドシン!        …ドシン!         … やめてください!        「 … や め!            って … 」     …ドシン! …ドシン!  …ダダ! …バサッ!       …  ガっ! " バシっ ン! ”…        … ドっ!          ス ン!…   「 … っつ !」 … ダッ ン!            … ガタン! … ダッ! ダダッ ダッ …         「 ・・・・ 」          「 ・・・・ 」             … ぁ … ― そう … 上司を殴った ソノヒト と ものわかりのワルイ ワタクシ は       呆然と 立ちすく み … 殴られた けっして悪くない 大人な 上司の ここの責任者 は テーブルを蹴って この場から 転がり出るように 離れ 階段を駆け下りて行った …         「 ・・・・ 」          「 ・・・・ 」             … ぅ …          ワタクシは            血の気がひき … ❀❁❀❁❀.❁❀❁ でも …  不謹慎 かもだけど …           ワタクシ いま            目が覚める?        生きて る? なんか … 人間ポイ ? 気がして …        … 変だけど 和室はそんなに広くないから 目の前で こんな事 あったら コノヒトの 声だけでなく 息づかい 匂い 体温       伝わってくるし … 人間味 ? みたいなの           あって …  だから         ドキドキも            してた かも … それくらい 今までの ワタクシの 周りとは          ここは  コノヒトは ゼンゼン 違ってた …              それでも       これは …           " 大変 !”      「 あ       大丈夫なんですか?            これって? 」 「・・・・」            「 … あ の 」 「 … 大丈夫   あのヒトは   大学の先輩だ 」      「 … え ?        だったらなおさら …」 「 … ん   俺を敵にはしないから   いい … 今月      数字出せば平気 」         「 … そ う            なんです ? 」 「 ぁあ 今月確定   契約 2 本あるから 」           … す ごい … ソノヒトは 赤く なってしまった 右手の指を2本たて ワタクシに魅せた       「 あ 手!         痛かったですよね…」 「 ん ?   大丈夫 … 」 ワタクシは  ソノヒトの赤くなった掌を  いつの間にか 両手 で 包んでいた 「 っふ …   君の手   柔らかいな … 」             … どきっ       「 … あ         いえ スミマセン 」 「 … いや   も 仕事に戻ろうな 」            「 はい … 」 ソノヒト と 一緒に 1階に下り 事務所へ入ると リーダーは もう 居なくなって …                いつも  ワタクシに 嫌味ばかり謂っていた カノジョは モデルの中の インテリア コーナーで 色合わせの仕事をしていて 居ない そして … それも ? ちゃんと  確認したかのように ? 一緒に戻った ソノヒトも  お客様のお宅へ訪問する アポを取っていたらしく 時間を 気に しながら 急いで出て 往った   ―         それ な ら  … さっきの事 を 知ってるのは …             ワタクシは        そんなことを気にしていた インテリアはカノジョだけ だけど 営業担当は リーダーとソノヒトの 他に数名 ここには席があって … も …  カレラは 居なかった 皆が      気遣いをしてくれたのかな … でも …      ワタクシが ここに来なければ こんな事は ?  ここでは 起こらなかった …        ワタクシは 事務室で      ポツンと ひとりに なって …   … " ワタシ ” …      ここにいて 善いのかな …   ワタシは " ワタクシ ”の 余裕は      もう 全く なくなっていた ここのヒトタチは  きっと リーダーや カノジョが云っていた とおり ワタシの後ろに居る主人が   ウットオシクテ       ワタシの扱いに  ワズラワシサ を 感じているの だろう        との事 は             分かる から …         ワタシが居なければ カノジョだって こんなふうに なっていなかった と 思う し リーダーが ワタシにだけ 話をしたの なら " 数字を出せる ” インテリア担当のカノジョは戦力で 営業事務の代わりは  いくらでも すぐに …            なのかな …             でも … ― ワタシが  ドンヨリしながらも今日の仕事を終 わらせ モデルハウスから出ようと 裏口に進むと そのタイミング で           … パタン! 扉が開き  ソノヒトが 戻ってきた …           「 あ!」 「 ん!」     … それは素早く … ソノヒトは  ワタシの 唇に 自分の人さし指をあて 口をふさぐと 左腕で ワタシを             引っ張り! そのまま  黙って 歩き出す …      少し 離れた処で … 「 お疲れさん …   あの後は 大変だったかなぁ   俺  スグ  出たけど      大丈夫だった のか ? 」 ソノヒトは 止まることなく でも  きっと ワタシの速さに合わせて ?  早くもなく 遅くもなく歩き 続け … それでも  戸惑うワタシの 緊張したままの腕を 強めの力で 離さずに引っ張りながら  営業車の留まる 駐車場の方へ進み … そんなに ? ワタシを  心配していた感を出して い て … そこは … 来客用とは違い 整地もされていない 空き地を 利用した駐車場 で 大きめの 砂利が    目立つ 歩きにくいところで … …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ              …ジャリ      … どうして         ワタシ 連れてくの ? ワタシは  引っ張られながら その腕を 振り払う事も    できずに … …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ              …ジャリ        「 あ!  今日は          ワタシのせいで           スミマセン … 」 …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ             …ジャリ 「 ん ?  " わたし ” か … 」 …ジャリ     …ジャリ          …ジャリ!        … え! 気づく の?                       …ジャリ        「 … あ いえ          スミマセン … 」 …ジャリ    …ジャリ          …ジャリ             …ジャリ 「 ふっ !  イイじゃん  べつに どっちだって     同じ だから …」 …ジャリ     …ジャリ   ―         …ジャリ!             …ジャリ          「 え ?            はい … 」 …ジャリ     …ジャリ          …ジャリ            …ジャリ 「 で ?   大丈夫だった ? 」 …ジャリ    …ジャリ          …ジャリ!            …ジャリ          「 はい …」 …ジャリ    …ジャリ        …ジャリ           …ジャリ 「 そか …」 …ジャリ    …ジャリ      …ジャリ        …ジャリ          「 はい …」 …ジャリ    …ジャリ       …ジャリ         …ジャリ 「 … 辞める な よ …」 …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ!         … な! に?           …ジャリ           「 え ?」 …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ            …ジャリ 「 う … ん …   考えすぎなくていいぞ …   ここの 人間 さ   悪い人たちじゃない …    皆 〆日 近いと       いろいろ さ … 」 …ジャリ     …ジャリ          …ジャリ       …ジャリ      「 あ …        そうですよ ね …」            そう …  皆さん リーダーだけじゃなく " 数字 ” ここのため にも 自分のため にも 気にして お仕事なさってる から … …ジャリ    …ジャリ          …ジャリ             …ジャリ 「 な …   電車通勤に   変えただ ろ ?」        … え? 知ってる の? …ジャリ    …ジャリ          …ジャリ             …ジャリ            「 はい 」 …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ 「 送ってくからさ !」  …ジャリ   …ジャリ         …ジャリ   …ジャリ        …! なんで ?         「 は ?           で も !」 …ジャリ    …ジャリ        …ジャリ          …ジャリ 「 大丈夫   ミラレテないだろ ?」        … え? チガ!…      " ミラレテないだろ ?”   じゃなくて! いきなり ?     なんで ? そうなるの ?   そ? … だからここなのかも ?             だけど … え ?      さっき から? ううん … あの とき から ?  どうして ? こうなるの か?   ワタシには ゼンゼン だけど …       … コノヒト て ? … …ジャリ    …ジャリ          …ジャリ            …ジャ リ ❀❁❀❁❀.❁❀❁❀       「 い ?          そう ? です?」            … でも …      なんか? 旨く訊けないから        それも これも ?     わかってる? ふりシナキャ!  とりあえず 話!合わせなきゃ! いま ! そう ! いま は! 助けてくれてばかりの ? コノヒト に 対しては!       失礼にならないように … …ジャリ     …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ 「 ぁあ … も 暗いし  リーダーの車は         ないし  戻ってくるかも        だけど  ほかのヤツラの        車もない 」 …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ       「 そ ? なん?           です ね? 」     … コノヒト って ?           よく 視てる …       回転が 早ぃ ?          すご い な …                …ジャリ     …ジャリ           …ジャリ            …ジャリ 「 ぁあ … 」 …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ そして … こんな?会話は続いて … コノヒト 静かに話すけど … そう 云いながら も … いつまでも しっかり  ワタシの腕 zutto…       離さなかった … それは  二の腕を攫まれていただけ ? で " テツナギ ” では         なかったけれど それは …  強く 離される ことは なく だから …  緩められることはなくて で     迷いがなくて ?           なら …  頼もしく て …        そう …            思えちゃって       バカみたいにワタシ勝手に        胸が ドキドキして た だから! … すごぉ …  皆さんの車 把握 してるんだ …          ワタシは …    それでも てれくさ くて? それとも 違う ? と 思うけど       " 理性 ” ってやつ で?         だからだから!           自分で 自分の     そんな気持ちをゴマカスように        チガウ! ことを?         無理やり?           頭に出してみて …       … だって 正直 ワタシ  大学を出てから スグに " 先生 ” と結婚したし  学生時代も㊚のヒトと お付き合い  も したことない し   もし       そんなお付き合いがあったら オトコノヒト に  " 腕を引っ張られる ” なんて 普通で? ゼンゼン 大した事でも? ないのかも だし?        でも …           … なんで ?   まだ …    そんなに親しくないはずなのに?  あんなことに なって?        こんな こと されて?             え ?       コノヒト 大丈夫な ヒト ? ― …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ ワタシは いま も? かばって もらって る? コノヒトに 感謝 ? するどころでは なく              むしろ       警戒心も 出て きて … だから?…  こんなに いろいろ されちゃうと   ワタシ 冷静 じゃない けど? なぜか? 冷めてて?          でも 不思議 で?         いまも どこを 見て        良いのかも           分からなくて …     足元の 大きな砂利見ながら … …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ           …ジャリ           それでも ! そんなワタシのすぐ傍に ソノヒト  居るのに ?           そうだよ!          ワタシは 急に!           思い出したように 顔ごとブンブン! 動かすほどの オーバーリアクションで     キョロキョㇿ キョドって …        ワタシ ヒトの眼?             気にし た … …ジャリ    …ジャリ         …ジャリ            …ジャリ           で! その            " ヒトの眼 ”             気にして?  …ぴ!    …カチャ!  …パタン! 「 どうぞ!」         「 は ? い …」 …ジャリ           …ジャリ          …カチャ!            … パタン        まるで ?        これも条件反射の様に? ソノヒトが  そう声をかけた 瞬間に!          … あ! …      って?                    " 焦って!” ソノヒトの車に           ストン! って 逃げ込むように      頭から突っ込んで!        乗り込んじゃって …             「 あ …」 「 フフっ   … うん !   いいじゃん …」      …すぅ~           … カチャ …   … え ? コノヒト慣れてる? …   ワタシが キョトンとしてるから?   上体を傾け あっさりワタシの肩に    左手を掛けて もう動けない!   できない ? ワタシのために ?      シートベルトをセットした … ― … え ? チガ ウ ?     これって ? これで ?       ワタシ 逃げ れた の?          え ? やっぱ ?   乗った方が ダメなんじゃないの?     ん ? ワタシ ? が ヘン ? コノヒトが 変 ?         判らないままなのに ? 「 なぁ …   住所 言って   ルート    見るからさ 」         「 !           ぁ … の …」     … んんん ?        善いの かな これって …       ワタシは いつの間にか? コノヒトにされるがまま ? シートベルトに捕まったまま ? …     ぇ----!  なんで ?        乗っちゃったんだろ ?             ぁ----!         もぉ----! コノヒト! なんでも ? 早く ? 物事 ? 決めて    すぐ 動くけど ? ワタシ   これじゃぁ 頭 混乱してばかりで     考えとか  追いつかない …      無理 ! ゼンゼン 早くて …   あ … 今月 2つ             も だし …     自信 あるんだ …     コノヒトに は…               それじゃぁ …                         ワタシ …     こんなに    どんどん     コノヒトに 引き込まれ る …            「 …ぅ!」 「 ん ? 」 ❀❁❀❁❀.❁❀❁❀❁.              ワタシは        受け身な性格が禍いして ? さっきから なにも訊けずに 何も言い返せずに コノヒトと 一緒に動いてる けど   ホント 善いのかな ? これ … 「 え ?  だって 言ってくれなきゃ       送れないじゃん … 」     はぁあ ? … コノヒト …          そう か …   ワタシの頭はいつも 空っぽで  いまは取っ散らかって ? だけど … そ … なんかきっと … コノヒトの頭には ぎゅぅ ! って いっぱい !  ありとあらゆるもの ! が キチン! と 整理整頓されて て? その場その場で どんな事が起こっても ちゃんと 巧くできるよう に? " 機転 ” スグに取り出せるように! 無駄なく 何層にもなって  詰まって そ う …          そ … なのか な    まだよくコノヒト知らないけど …         フフッ♪ これ … なんだか 助けてもらったから ?   ずいぶん ひいき目 ? かな …         「 ぁ !          そ ! ですよね           スミマセン             横浜市 … 」 「 ぅお !     あそこか ?  ほん とぉ !  すげーんだな--- !」        「 ぃえ …          ワタシの物じゃ           ありませんし … 」        … そ … だし …         " 主人の ” だし … で … コノヒト たぶん この 声のトーンでも ? ワタシの 気持ち ? まで  " 慮る ”  … 「 ん ?  まぁ … な …  でも …  あそこは  車ならいいけど  電車だと …    大変だな …」                ん ?      … え ? この住所 ?     聴いただけでそれ判るん だ … そ ? れは … さすが営業担当 ? …     いつも車で動いてる し ? … ― でもほんと ワタシが暮らしている処は お仕事の時間管理はご自分たちで できる 選ばれた方々が暮らす処で だから  電車通勤など ? する方はいなくって ワタシも最初は 車通勤をできる と 思って それ以外は なにも考えていな            かったけれど … あのトキ 云われた から それからは 電車通勤に変えていて … " 最寄り駅 ” の 言葉が合うのかも 分からないくらい 自宅からその駅まで は遠く    バスも利用してからだし  そのバス停までだって  家は山の上だから急な勾配の道は    下ったり上ったりも大変で … 実は かなり  不便さに驚いていたの       だけれど …       ワタシの事なんて … で      誰にも 相談していなかった だから … 気づいてくれたのは …             嬉しい …        「 … はい             でも …          ワタシは          戦力外の          事務なので … 」 「 ん ?  なことないだろ ?  大変なのは!  な ?  俺 ! 迎えに往くよ       朝もさ … 」            「 は ?」 「 うん !   そ ! 大丈夫     だから !」           「 ・・・… 」       … なん で ? …         そ なる ? かな …      それでも … ワタシは 解りやすいのか な 声に出さなくても コノヒト … 「 あ …  そんなに驚くなよ   通り道だからさ … 」 … え ? だって ? それだって ?    そなのかな ? それ … 世間は ? これ 平気な事なの ? …       ぁ…  " 世 間 ? ”       ワタシは 突然の事で       なにを基準に ?       考えたら善いのか が?           分からなかった          でも …      そ … か …  昔 … 送ってもらってた な …         車で … 先生に …    なら … 同じ職場のヒトに? 車で送ってもらったり?   朝 乗せてってもらったり って? 普通なのかな? 通り道って?   云ってるし …     んんん? ―          「 でも … 」 「 おいおい ?  考え込むなよ ?  タイシタコト  じゃないだろ ? " 通り道 ” だぞ …」       「 … は ? ぃ … 」             そして … その日から ソノヒトとワタシは    一緒に 通勤することになった …       「 おはよー          ございまーす! 」            …パタン! 「 おは よー 」       ワタシは 車に乗ってから  カップホルダーに コーヒーを置き …      「 甘い方が良いですか ? 」 「 お ?  ありがとー  甘くなくて良い …」         … よかったぁ! … 何をしたら 失礼になるのか分からない けれど 乗せて頂いたから 飲み物を用 意して             みた ソノヒトは すぐ車を動かし それには 手をつけ          なかった     … あ ?        これ 嫌だったのかな … ワタシは 心配になり 少し 俯き加減 で だから前も    見れないけれど ソノヒトに尋ねる事もできなくて          横に静かに座ってた で … 車も ?  とても静かに動いていた          … この車って … 社用車か分からないけれど 普通の車で エンジン音もうるさくなくて      … 自己主張しない車 …               いいな …        このほうが すき … それに … コノヒトは営業担当だから ? お客様を乗せる事もあるから ヒトに 優しい運転ができるのかも  だけど … カタン … 「 じゃ !   いただきます !」        「 え?          あ? どうぞ …」    … よかったぁ 飲んでくれる? 「 ん !  美味いな !  これ ? モカ       か ? 」          「 あ ?            はい … 」     … やさしいぃ聲 フフッ♪        この笑顔も す きぃ… 手をつけてもらえないと思っていたから こんな事にも         ワタシ                     ビックリ?して …      肯く事しかできなかったけど 家から少し離れた  信号待ちの停車中 ソノヒトは ようやく 少し冷めた    コーヒーに口をつけてくれた … … ご くぅ り … 大きなノドボトケ? が 動いて …          !あ … また飲んだ? …     気に入ってくれたのか な …               ワタシは        主人に 入れて " 上げた ”          事はなかったのに …             なんだか … ソノヒトのためなら って               昨日から     コーヒー豆をチェックしてた … だから … ちゃんと飲んでくれたのなら     ワタシ … 胸が また勝手に         ドキドキ しちゃって          ワタシも 嬉しい …       「 冷めちゃいました?」 「 いや ?   俺 熱い飲み物    苦手だか ら … 」        「 え ?          スミマセン          知らなくて … 」       … 猫舌? かわいい な ! 「 はは ! だよな!    知らないよな!  でも …  ちょうど ! 善かった  ほんと!      美味いよ!」            … ほ ん と !        って そ か な ?…           …ドキドキ      「 あ!       よ … かったぁ です 」 「 ん! 」        … 良かったぁ---!… 「 ん … な !   なんて   呼んだらいい ?」            「 え ?」 「 呼び方!   下の名前に?      する?」           … どきっ! … え ? これって?  どうする? ぇえと … 主人 は …              ワタシが       考え込んだ仕草を見せると?  『 お い !     ゆ き !! 』              『 はぁ! い! ぃ? 』      … ぁ うそ ! ひどぉ !…       ワタシは自分の手で             口を 押え… 「 … ふ!    じゃ! " ゆ き ”      で な !」        云われても?     顎を引いて目がキョロキョロし        そのワタシの様子に   ニヤニヤと フフッ! 鼻で笑って コノヒトは また  先に 決めてしまい …           …ドキドキドキ           「 … はぃ…」       … ンンン?        でも … なんだ ろ …           嫌じゃない …      呼び捨てに されたの に … こんな事 主人の聲 じゃなくても? ワタシ …    嫌じゃないんだ …           !… あ…   ワタシ さっきから " 主人 ” って    頭の中で は 謂いながら でも        謂ってるだけで …  その顔すら出てこない   ワタシ 主人を ? 忘れてる …       忘れる事 できて る … ❀❁❀❁❀.❁❀❁❀❁.❀ … え ? … そんなに ? この ひととき ? 楽しい かな ? … それに!            なんだか …      驚いてばかりだな ワタシ … ― 「 な! でさ! 俺は年上だから  " 落合さん ” だけど …          これから  ふたりの時は   それじゃ硬すぎるから  ゆきも 下の名だし    俺 " 慎 ” だけど … 」      「 い?  ぇ!       呼び捨てなんて       できませんよ!       先輩だし!          年上だし!」 「 そうか ?」      「 はい!            じゃ ?       " 慎さん ” ですか?」 「 ん ?  なんか ?  くすぐったい 」      「 え !?       じゃ! やっぱり!       " 落合さん ”           ですよ !」 … 当たり前じゃん ! なんで?  先輩なのに? 下の名前なのよ?         オカシイじゃん !… 「 ん … そうか …  じゃ … さ …  " シン ”  で      いいぞ!」 … え ? なんで ?    あ れ …  " まことさん ”     なのに ? … ん ? あ … " 慎 ” の 名前 で 多い ?     " シン ” が 良いのかな ?…          「 " シ ン ” ?」 「 お !  いいね !  そ ! それ ! 」        「 え ?         シ ? ン ? です?」 「 ぉう !」         「 … は ぃ … 」 … そ う? なん だ … なんか … これ … ふたりだけの ?                かな … そんなカンジで さすが なのは 営業 担当な ? " シン ” は こんな      お互いの呼び方だけの話題で? それでも ずっと会話は続き あっと いう間に       展示場に着いた でも …  シン は そこから少し離れ た処で     ワタシを降ろす そこは 食品などの買い物をする " スーパー ” で ?               ん ?          … どうしてだろ … 「 な !  この店 ! 駐車場 " 無料ナンダ ”  で ! 遅くまで営業してるし…         ん! しかも !  年中無休 ! だから な !  ここで落ち合えば 善いだろ ?」       あ … さ  すが です …          「 は … ぃ 」 「 ん ! で !  俺 お客様のトコ往ったりだから  帰りは 18時45分!        店の入り口 横!  イートイン! 寒かったりしたら  そこからも外! 見えるだろ?           じゃあ な!」         … パタン!       「 あ !          ありがと … 」 シンは ワザワザ だった … 展示場に来なくても良かったのに ワタシのために 寄ってくれた … それに ワタシはちゃんとお礼を言えな かったのに 帰りの事まで シンは云っ て             くれて … その 段取りの良さ ? に ワタシは また           驚いた …       … なんで ? …           そんなに ? … それでも ワタシは シンに云われた とおり  仕事を終えると 18時30分の 少し前には 店に着き コーヒーを 買って     シンを待っていた … ― …ヒューン…         「 あ ! キタ ! 」    ワタシは 車を見つけると       駐車場に向かって走り出す            …パタン! 「 お ! お疲れ ! 」          「 お疲れ様です 」             …ストン!       …パタン!   「 あ の …      宜しかったらコーヒー        冷ましておきました 」 「 ん ? 」        「 いかがですか? 」 「 お!  いただき ! 」   …ゴクっ! シンは スグに  そのコーヒーに口をつけた 「 ん ?  ちょうど良いな ! 」            … ほっ!         「 良かったです!」 「 お !」     「 でも … お忙しいのに        送っていただいて … 」 「 ん ?  気にしてるのか ? 」           「・・・・・」 シンは 向きを変え すぅ~ッと長い腕 を伸ばし …       …頭ポンポン! って ?             「 え ? 」 その動きで シンの 匂い … が カーエアコンの風に乗って      こちらに流れてきて …          ワタシは 一瞬で           それに包みこまれ …     術にかかったように        ぼんやり する … 「 ふっ !  気にするなよ !  俺が云ったんだろ !」            「・・・・」       ワタシは てれくさくて             眉間に眉が寄り 「 なんだ ?   そんなにか ? 」          「 あ  いえ !           スミマセン !」 「    … ふっ !  ゆきは  謝ってばかりだな 」          「 え ?            ぃえ … 」       … やさしいなぁ …      " 気にするなよ!” って          気にしてくれる … 「 俺は 楽しいからさ !   ゆきは カワイイ        からな !」             「 は ?」         ワタシが その一言に          驚いて首を傾げると そう云いながら シンは 右手をハンドルに で … だから カラダは前に向いてる し … 一定の距離は保ったまま でも ? 左手で ワタシの 右耳の ミミタブを優しく つま む …            「 きゃ!」 「 そ !   思ってるだろ ?」       「 え ?         思ってません ! 」    ワタシは 耳を摘ままれたまま?          じゃ 恥ずかしくて        シンの方を ミレナイけど           だけ ど …     耳に繋がってるシンの手を             払えない … それでも …       え … なに謂ってるの ?          ワタシはそんなに           自信過剰じゃない              けど ! … 「 そ ? か ? 」     「 はい !       ワタシそんなこと !」 ワタシは この顔が  キライ! だって この顔のせいで             ワタシは … 「 ん ! 解った  悪かったな ! でも  俺は ゆきの事    イイと思ってる 」           「・・・・」     … だから それ は やだ … 「 ふっ !  ソウイウとこ  ん!  温かくなってきたな …」           「 え ? 」 「 耳 …  柔らかい ミミタブ  ゆきの唇と 同じだろ  柔らかい    な …」 ん ? … なに ? 何 謂ってるの?  い や! なにを 思った の?…             え ? それ … Kiss かな … kiss ? やだ!       ワタシったら うそ! … ―         ワタシは 混乱して         両目はおっきくなり …        … ドキドキドキ … 「 … な !   連絡方法 !    ド する ?」           「 あ … 」  それなのに? ❀❁❀❁❀.❁❀❁❀❁.❀❁ シンは もう あっさり?        … 繋がってた のに … すぅ~っと その手をはなすと 今度は ハンドルに右片肘をつき 斜めになると 右手の握りこぶしを自分の右頬に当て           左手は 腰に当て? ―――――――――――――――――     ワタシは いま 車の中で …             だから? フロントガラスや  サイドウインドウから 外は見えるはずなのに ?        だけど ? そんな ほか を 見る事もなく         シンだけを見て いて … だって ふたりだけの ここ               だから で … ――――――――――――――――― … ん ? これ … で ?          考えるポーズ ?  で … あ … その右手 大きい な … あの時 リーダーを殴った右手 …       … ワタシなんかのために  コノヒト …           いまは … ワタシの表情を確かめる様に ? 安心させるように ? だから ? ニコニコ顔で  低い姿勢になって 下から  見上げるように覗き込 む … …じぃ---      ぅ …      " み! みられてる!”    ワタシだって シンを見てるけど        見られるのは やだな …            だって … そんな カンジ! 出すのやめてよ!     よけいに 恥ずかしいじゃん! え ? … で も … も ? 話し変えた の ?  なんか … やっぱ 解ったのかな          ん ? ワタシ … からかわれてる の これ ?           も-------!            あ ? シン に は …            ワタ シ … こんなカンジで驚かされるから ? こんなに ドキドキするのかな …         や ! やば ぃ …      これ きんちょう す るぅ … … ワタシ これ なにも口に出せない   し? で 頭の中で パニク る ― 「 … ん ?   メッセージにする ?    それとも電話か ? 」      ぅ … このまま ?           話 進め る ?      でも … これ … やっぱ …           「 あの …」 「 ん …」         「 主人 が … 」 「 スマホチェックするのか ? 」         そ ? … わかるんだ …          「・・・・」 「 そか … なら   メッセージにしようか 」           「 え ?」 … どうして ? ん ? 電話の方が 履歴だけで 内容までは分からないの               に? … 「 ん … あのさ 例えば … な  " 書類 “ を 頭に さ  『 書類は15分ほど        遅くなります 』          とかさ … 」            「 ん ? 」 … そか ! へぇ … それなら …           判らないかも … 「 どだ ? 」          「 う … ん 」              …ウ~ン 「 それに …   時間は18時 だと   オカシイから 10とって      8時とかにする … 」        … ぇ--- ! ぁ …              …ウン           「 は … ぃ 」 「 だから … 『 8時45分の書類作成は    難しいので   30分遅れになります 』         とかさ … 」           ぅ---- わ!            … す ご … こういうとこ ? ワタシには無理 ! なんで こんな事 思いつくんだろ …       フフッ! おもしろい! シン …      なんでもできちゃって!   なんか 堂々としていて ? だから 頼りになる ? 安心する ?              フフッ …           「 … はぃ 」 「 で !そんなカンジで     遅くなる時もあるけど  それなら早めに連絡するから  モデルで 時間つぶしてㇿ! 」              へ ?          … なるほ ど …               …ウンウン           「 はぃ …」 「 ん ? だろ ?  " 完 璧 ” だ な ! 」        … え ? そんなに ?  なんでも 自信家 ? な シンは 両手でハンドルを握ると 前へ向き直し 得意そうに ? 胸を張る …            …フフフッ♪        「 … はい           完璧です… 」 ウンウン♪ … なんでか このカンジ  子供みたい ?  ぽい ?        やっぱ おもしろ い!        … ウン♪ ワタシ も …    シンとお話し するの 楽しい!               フフフㇷ♪ ―――――――――――――――――   … そ だ よ これ …  ワタシタチ お話し してた だけ なのに ね …      それだけなの に … それなのに ? これ …  主人 は どうして分かったんだろ で これ ? そんなに怒る の ?…… ―――――――――――――――――    ワタシは ただ シンをみつめて その話 相槌を打って 聴いてる だけ             だったけど … でも … 心地よかったし ゼンゼン     嫌じゃない 無理もしていない シンは 年上だけど まだ 結婚で 縛られて? なくて ワタシの事なんて  理解してもらえないと思っていたのに            なんだか … 理解してくれて る … って 安心できてた から … ― でも … これも? 営業担当だからかな … きっと お客様を乗せてる時も 退屈させないように ? セールスの ために?         ずっと  会話は続いてるんだろな …    ワタシは 自分を取り戻そうと?    少し 冷静に?   こんなふうに なんて も 思った ― 「 ……で さ ? 」            「 あ ? 」 「 ん ?  聞いてなかったか ?」            「 ぃ え 」 「 ん …  大丈夫だったか     今日は … 」          「 はい …            なにも … 」 「 そか … 」         「 あの …           ワタシ            やっぱ … 」 「 ん ? 」      … ワタシは 自分で言って       後悔した 訊くのが恐い … 「 なんだ ? あ !   まだ? 気にしてるのか       それ ! って … 『 私なんかが  ほんとにここで働いてて    善いんでしょうか ! 』         とか か ?」 シンは早口で言い切って魅せる          … どきッ     … ど? して? 判るんだろ …        「 あ ! の !           なんで … 」 「 ん ?  顔に書いてある 」         「 え ? 」            … ジタバタ !        ワタシは両手で顔を隠し            俯いて 固まる 「 ハハハハハ !  " 純 ” だな !      だからさ !  気にするナッテ !  な ! そういうとこ !  やっぱ !     カワイイじゃん 」         … や ! ハズ ぃ! …        「 え ?           ひ どぉ ! 」 「 ふっ !   だろ ! 」      … 気を遣われたのかな?         " だろ ” って        解ってもらえてるの ?     かな こんな ワタシなのに … 「 ……じゃん! 」           「 え ? 」 「 『 " え ? ” 』って ?  大丈夫ぅか ? あ!  腹 減ってんのか ?  な ! なら なんか      喰ってくか?」          「 ぃ ? え! 」    … それ は いくらなんでも … シンは そうやって スグに?    ワタシのこと を みて くれて … ❀❁❀❁❀.❁❀❁❀❁.❀❁❀ 「 いきなり かぁ ?  じゃ! 送るだけな !」          「・・・・・」 … なんだろ? これ … 会話 ?       それでも成立して る … シンて ホント 不思議ぃ …   でも… いいなぁ このカンジ …    で? ワタシは そんなシンに      ぼぉー っと してる間に? あっという間? に … …ヒューン 「 お疲れ ! 」   「 ありがとうございました!」 「 ん !  じゃ 明日!」            「… はい 」            …パタン! …ヒューン それでも !    " ムフフ ♪ ” って!          ワタシは判り易く  楽しかったから!         明るい表情のまま?  自分の足元だけを見て 家に入り … …トコトコトコ…           … パタン !        だったのに? でも! 「 お帰り … 」          「 っく ! 」    … ⁉ ど う して ? …     だから 罰が当たったのか … 主人が !       や! … なんで? … ワタシを 玄関で ? 出迎え? た! それは!  主人の 初めての 出迎え で … ワタシは見事に そこで固まっ た …                 「 … た だいま 」      ワタシは また 分かり易く       スグに俯き 床を目で追い 自分の? 家なのに? 初めての場所の様に確認するように          ゆっくりと進み …  だから そちらが重要で!       なので      主人から目を 逸らした … …くるっ! 主人は?  そんな ワタシを待たずに  どんどん 離れて あっさり リビング の方へ消えて往く … え?… なにも云わないの ? あれ …      なんで? なら?   車 見えて ? なかったのかな …   じゃ … なんで 出迎えたの ?        … トボトボトボ… ワタシはルームシューズに履き替え 不気味な … 主人を探すようにリビングに入って往く           … いない ? すっかり? もう? 主人は リビングには いなかった        … なに ? これ …           … 恐い … 静かなリビングに ポツンと 佇み          ワタシは 一瞬で            背中から 凍る ――――――――――――――――― それくらい 主人とワタシの関係は 上下関係が ハッキリとしていて …       … どうせ …         ペット だか ら … ワタシからは  主人には 話しかけない ここでの生活は  こんな時にも こうして 困る …          普通の夫婦なら ?           こんなとき …        離れる 夫を追って …         自分から 言い訳 ?           探りを入れる ?              のかな …     ワタシは それも できず に 主人が動くのを ただ 待つ …       たから 凍りついたまま   震えても で も しかたなくって          すごく 怖い … ――――――――――――――――― 主人はあの大国 北の国の大統領みたい 冷たい 鉄のような ヒト … いつも … だからこんなときも不気味に 家の中は 静か で …          … 冷えきってる     でも … なんで判ったんだろ 誰かが ? 主人に知らせたの ?    ワタシは これ 判らないけど          一応は考えてみて…             だって … 主人が ? ワタシを ? 待つ ? なんて オカシ い し                 『 え? まさ か!』 … あ ? もしかしてカ ノ ジョ …           かな… って?…           だって?…            だから ね?… あんなに 初日から  ワタシにキツク …           それに … 主人の こと だって!  " 先生 “ って 言ってたの あそこ では  カノジョだけだった し …          ワタシの車 を         知っていたのだって?          そう じゃない?     まさか ? " あれ ” も … 主人 ? が カノジョに ? やらせてた の ?       ワタシが あそこを ?           辞めるよう に ?       だから あそこに は カノジョが居るから?   主人 来なくなっ た の ? あ … じゃぁ! カノジョが云ってた きつい捨て台詞も 主人が? あれ … 普段 ? の? ん ? そ ? ココでの生活 毎日 … ワタシが 主人に なにも " 感謝 ” ?            しないから? アノ カノジョの言葉は 主人が  カノジョに 云っていた " 事 ” ?   なのか も …       そうな の?            あれは さ … 主人の ワタシへの " 不満 ” なの? ―――――――――――――――――           そうなの かな?  ワタシは頭の中がグルグルとして …  焦点もあわせられずに …       … もう ヤダ-----! いま ここに 独りきり に され  てて も なにも かも?  見透かされているような そう ! いまだって !           視られて る !           気が す る … ――――――――――――――――― こんなときに? 主人は ずっと 書斎から出てこない           だから ワタシは         いろいろと詮索しながら       リビングのソファに腰かけて 主人を 待ってい た けど        そのまま寝てしまい … そして … そのまま迎えた 朝 …        … あ? いけない …      ワタシはソファで目覚めると  目の前のテーブルには カットフルーツボートと  ヨーグルトが置いてあって この家に生活していて  初めて 食事を用意してくれてる ヒト が ワタシの目の前にいた … ――――――――――――――――― ㊛「 どうぞ    召し上がっていてください   只今 お飲み物も      お持ち致しますので 」        「 あ !         ありがとう             じゃ …         食事は良いので         温かいお茶 を            をください 」 ㊛「 承知しました 」 …カタン! そのお茶はスグに出された …    … まだ 寝ぼけてる ワタシ …            …カチャ   ワタシはそのカップに両手を伸ばし          スグに 口をつけた だから ? … そこからの意識は 飛んで ? …ピーポー    …ピーポー      …ピーポー        …ピーポー …バタン! 「 … どこですか ?」 …バタバタバタ     …バタバタバタ        「 … こちらです 」      …バタバタバタ …バタバタバタ ― 動かない ゆきが 横になっている ソファ前のテーブルの上には ティーカップ と 薬 だけ … 「 意識はまだ ?」           「 ぇえ …」 「 自分で用意した       薬を ? 」     「 … 今朝は なぜ か       早く起きていらして …」 「 身だしなみも   整っていますね …      それで ? …」          「・・・・」 「 判らないんですか ?  では どれくらい前に  この薬を    飲んだんですか ?」     「 …スミマセン      ワタクシ キッチンに            居りまして      おそらく … その間に …」 「 … この飲み物は ?」     「 はい        " ハーブティー ” を       お飲みになりたいと         おっしゃって …」 救急救命士は ハーブティーの 茶葉を見せられた … 「 …… ハーブティー …       ですよね …    おい! 運ぶぞ …」 「 はい … 」    「 あ! の …      奥さまは 以前 も …      で… 運ばれた病院が…」 「 は? 以前も?     ですか?」       「… はい         ○○病院へ …」 「… 分かりました  そちらへ運びます …」  救急救命士はその茶葉と薬を預かり                   ゆきは運ばれ …… …パタン! …ピーポー    …ピーポー 「 … ったく!  初めてじゃない … って  自分でだろ これ …  なら! 俺たちを呼ぶなよ  もっと 必要とされてる方に  往けなかったじゃないか …」  「 … どうしたんですか ?」         「 … いや 」 救急救命士は口を堅く閉じた …ピーポー    …ピーポー 病院に運ばれた ゆきは …  自分で 薬を飲んだ事に され … それが それ らしく? 周りから見られるように? すでに あの 主人によって? これは 初めてじゃない事に され てて … そう … 以前 貧血で倒れた と! ゆきは信じこまされて? た? あの時の 事も  主人の  事も? ちゃんと? " 事 ” を 知る? ここは そんな 以前  ゆきが倒れた時に運ばれた病院 …         …カタカタカタ…   『 先生!      お願いします!』      ゆきは 意識が無いから       何も言えないまま で … 「 ん?   このこ ? は また? …」    「 はい …     また … みたいです…」 『 おい!   胃洗浄だ!』          …ガタガタガタ… …ガチャガチャガチャ… ― そう … でも これじゃぁ … あの主人の思い通りに?
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