2023.08.05 感想という名の反省文

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2023.08.05 感想という名の反省文

2023年7月29日、Youtube「怪談生朗読」にて、「忌諱(きき)に触れる」 が朗読されました。 2話目 00:26:38から https://www.youtube.com/live/X71S_PV_6sg?feature=share 下部のコメント欄にリンクを載せてあります。 そちらから、直接ジャンプできます。 外出して帰ってきたら、ちょうど X(元Twitter)のDMに彼岸さんからメッセージが入ってて、聴きはじめたのが3分の2過ぎたあたりでした。 なので、動画視聴の反応見てて、あーこういうこともあるよねーなんて考えながら、翌朝あらためてしっかり拝聴したんです。 いやー、もうなんというか……スゴカッタネ!!! 語彙が消失して、カタコトになるくらいの大爆死!(笑) この場合、自分側の問題なので自損事故ってところですが、運悪くガソリンに引火して爆散したんじゃないかと思うくらい、派手にやらかしてました。 うん。 先に伝えとく。 負け惜しみじゃないよ? あのね、最初は悪くなかった。 だけど中盤あたりから、なんか不穏感が漂ってね。 3分の2あたりで、あ、コレなやつだ、と悟りました。 いや、もうね、頭抱えたし、どうにもいたたまれなかったですね。 原因と思われるのは、大きく分けてみっつ。 ・ホラーのサブジャンルのミスマッチ ・文体と表現(脚色)のミスマッチ ・媒体のミスマッチ もっとありそうですけど、気づいたところだけ順に説明します。 まず、ひとつめ。 ホラーといっても色々あるんですよ。 映画でいうところの「恐怖の対象がどれになるか」という点で、大きくみっつにわけられます。 1、異常……地球外生物、科学の力で作られた怪獣、異常者(合理的な説明ができる) 2、超常……心霊現象(理屈では説明できない) 3、超異常……異常、超常のどちらかがわからず、観客を混乱させる。  (ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則より) で。 基本、怪談は2番を扱います。 ところがですね、自作「忌諱(きき)に触れる」は3です。しかもそもそもの結果は1なんですよ。 調べてみたところ、系統としてはSFホラーに分類されるらしいです。 うん、すでにまずいですね。 しかも、結末で対象がなんだったのか、明確にしていません。個人的にそういう不明瞭さが趣味というか好みなので、ここらへんはしかたがないですが。 ふたつめ。 文体といえばいいのかな、いわゆる語り口ですね。 怪談は、基本「口伝え」です。「誰々さんから聞きました」「何々さんが体験した話です」という断り書きがつくんです。 ひとりの視点を中心にすえて、その人物が見たり聞いたりする事柄を感じたままを伝える、というものです。 ひとつの話に対して、過去に飛んだり未来に飛んだり、語りの人物が別人に変わったりというケースはあるのかもしれないけど、個人的には覚えがないです。 また、話の視点である語り手が聞いてもいない情報や、教えてもらっていない光景は描くことができなくなります。話し手がなにを感じているかを開示するかたちで、読者の共感を誘う方法で恐怖感を伝えることが多いようです。 小説の場合は内面の葛藤を描くのに長けていて、地の文(セリフ以外の説明文)で非個人的葛藤(登場人物が社会や周囲の環境と戦う姿)を描き、セリフで個人的葛藤(自身の悩み)を描きます。 人物の内面のすべてに入り込めるため、ドラマ化にすぐれているそうです。主人公が見ていない場面やセリフ、および感情についても書くことができます。 一方で、ですね。 今回の作品は、自分の頭のなかに映像があって、それをそのまま書きつけていったものなので、登場人物が「どういうことがあって」「どう感じた」という感情表現がほぼありません。 登場人物すら、なにが起こってるのかよくわからないまま、終盤を迎えます。 なので、地の文を読んで、読者の頭のなかで想像した光景を眺めているうちに、さまざまな事象に起こる違和感に共通点があると気づけるかどうか。 そこが肝なんですけど、朗読のように耳から入った情報では、言語として脳が認識してるので感情には反応しやすい反面、文字(漢字)から受ける印象がないので光景を想像しづらいんですね。 なので、視聴者の共感を得られにくい環境が完全にできあがってました。 みっつめ。 読者の脳内で光景を浮かばせるために、セリフの大半を地の文に変換するという変則的な方法をあえて取っています。 小説を読むだけなら、あ、こっちの人物のセリフか、と後からわかったとしても特に問題がないのですが、朗読となるとそうもいかない。 非常に朗読者泣かせな文体だったと思います。 それから、エブリスタ上で小説を読了する目安が11分とあり、想像もしてなかったんですが、実際の朗読を聴いていて3分の2あたりで思ったんですよ。 「——えっ、ちょっ、なんか長くね???」 コレ……訳わかんないうちに、飽きてくるよね。困ったことに。 いやー、居酒屋でたまたま隣に座って話をしたからって、酒飲みながら聞く話じゃ無いよね。 みなさんのコメント見て、深くうなずいちゃったよ。 泡が消えるどころか、ビールがぬるくなるわー。 この作品ね、おそらくは映像ならばわかりやすいんですよ。 漫画やアニメでもイケるだろうけど、登場人物の感情にほとんど触れないので実写がいちばんいい気がする。 カメラワークで店内の光景、女性の体験風景と記憶の再現を映像でやったら、15分くらいに収まるんじゃないかな。 そうだなぁ、今回の一件をあえて例えるとすれば。 みなさん屋形船で楽しく花火見ながら美味しい肴(作品)と旨い酒(朗読)で盛り上がってるところに、場所をわきまえずにグラスボートで横付けして「ねえねえ知ってます? じつは異界生物がサメに寄生して、海のなかで侵略はじめてんですよ、そのうち人類もやられちゃうかもしれないっスよ、ちょっとこっち来ていっしょに海のなかをのぞいてみません?」ってな、トンデモ発言はじめた感じ。(←頭おかしい) 「なに言ってんの、こいつ」ってのは、こういうことなんだなーと思いました。 マジで、アウェー感半端なかったよね。 最後に。 ヘコんでいるかと思いきや、意外にそうでもないんですよ。 136さんは「え、どういうこと?」「光景は浮かぶんだけど」「犬?」「え? だれか解説してください」と大混乱してるし、コメント欄を眺めつつめっちゃ悩んで、「ここで本人が突撃(説明)したら、さすがに顰蹙(ひんしゅく)かうわ」と思いとどまりました。 そのうちに、過去の動画半年分くらい視聴してきたなかでも、こんな反応は前代未聞すぎて、だんだん「こんなことってある?」と面白くなって楽しくなってきちゃって。 ……いえ、すみません。 136さんの「光景は浮かぶ」の一言が、とても嬉しかったです。 もっとも目指してるものなので、伝わってるのがわかって幸せでした。 ありがとうございます。 朗読だけで、割けるリソースが追いついてないとおっしゃってましたが、伝えたい光景? は見えていたようですので、それだけで大満足です。 音声だけで文字の見えない視聴者さまたちは、もっとイミワカラン状態になってたんじゃないかと思ってます。 実際に(おこな)ってみないとわからないことがある、とわかりました。 いろいろと勉強になりました。思い巡らせることもたくさんあったので、今後に反映していきたいと思っています。 それにしても。 わたし、とことん小説用の文章を書いてるんだな。 ホラー小説と怪談の文章って、えらい違いがあるのね。 考えてみたこともなかったです。これからまた、精進していけます。 人生、いろんな気づきがあるものですね。とてもいい経験になりました。 長々とお読みいただき、ありがとうございました。 補足。 さすがに説明せずのままもどうかしらと考え直しまして。 文章で説明するのは文章書きとしては野暮な気がしたのと、136さんは8月が誕生月だそうで『どうせなら』と思い立ち、アンサーイラストのラフ書いてました。 こっち(絵や漫画)も断筆して20年くらい経ってたんですけど、最近AIイラストを参考に自分の絵柄の練習をはじめました。 96e5ed30-cec2-4953-ab17-bc9b56b05982 1ヶ月くらい練習していたら、やっと安定感がでてきました。 これはアナログのペン画。鉛筆描きしてからミリペンで上書きしてます。 人物とモンスターのイラストは別描き(足のデザインをなんども書き直したため)で、スキャナーで読み込んで2枚を合成して配置してます。 はてさて、どのように仕上がるでしょうか? 次のページから制作過程を載せていきます。 続きます。
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