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2023.08.23 トロフィーとしての女の価値
転職した先に、とても綺麗な女性がいました。
「綺麗」
天然の、無修正の、整った美しさ。
下手な芸能人よりよほど美しい。
同性でもドキドキするような、清潔感のある美貌。
一緒にいると、だれもが彼女の引き立て役になってしまうんですよ。
どんな男の人も、彼女に目線が向く。そばにいると、ものすごくわかるんですよ。相手(男性)の視線の内側にまったく入らない。彼女のそばにいると、自分がいないのと同然になってしまう。
まさに透明人間になった気分。
なので、一部の同僚には妬まれて、一方的に嫌われてた……理不尽。
性格はさっぱりしていて、とても良いひとでした。
芸能界に入りたかったけど、当時は巨乳ブームだったので、痩身だった彼女の天然の胸では即、芸能事務所から却下されてしまったと話してました。変な話ですよね。
そんな彼女、とても素敵な女性でしたが、自分には厳しかった。
食べるものの栄養、運動、とても気をつけていました。
父親に、食卓のおかずは3品作るように言われて、実践していました。
暴飲暴食なんかしない。毎日運動を課して、鍛えている。とにかく自分に甘くない。
美しいひとは、美しくあるべくものすごい努力をしているんだと思い知りました。
そんな彼女、学生時代に付き合っていたひとがいました。
別れを告げたら、「君の記憶に一生残りたい」と告げて自殺をされてしまったんだそうです。
酷い話ですよね。
勝手に死んで、一生を縛るような極悪非道をやってのけた。
男の目線では「男を狂わす魔性の女」とでも言いたくなるのかもしれませんが、当の本人にはたまったものではない。
心根の優しい、誠実なひとでしたから、「彼のぶんも、恥じないように生きなくてはいけないの」と話していました。
会社では、妙に彼女につきまとう男性社員がいました。
勝手に肩を揉んできたりする。困っていましたね。
好む好まないどころか、自分の意思の外で相手の好意を押し付けられる。美しいひとは、十把一絡げの容貌をしている者には想像もつかない苦労を強いられているものなのだなぁと、強く感じたものです。
その後転職して、レストランで働くようになった彼女は、その店舗のシェフと結婚しました。
結婚式に出た元同僚が教えてくれたのですが、店舗内では彼女の心を射止めるべく水面下での争奪戦が行なわれていて、何人ものシェフがアプローチをかけていたんだそうです。
ある時期、そのひとりが研修で他店に行っているあいだに、彼女は結婚相手となる男性と付き合うようになったそうです。
当日、結婚式のあいだ、「ずーっとものすごい目で睨んでいたんだよ」と聞き、言葉を失ったものです。
もともと恋敵がいてもいなくても、たぶん彼女は夫となったひとを選んだはずなんですけどね。そう考えることができないほどに、恋は嫉妬で正気を狂わせるのか、と思いました。
美しい人は、望んでもいないのに男から奪い合われる対象となるんだ、と。
昭和のアイドルが、元ヤンキーである、というのはよくある話でした。
芸能界に入るまえの10代で、堕胎の経験もある、というのもまことしやかに囁かれたものです。
あまりにもよく聞くので、芸能界でやっていけるほどに気が強いから? と思ってたんですけど、実際はコレ、違うんだそうです。
芸能界に入れるくらいに、ズバ抜けて可愛い、となると、女は賞品になるんですね。
勝手に、男から入れ込まれるんです。
奪い合われる「価値」、手に入れた者がまわりに自慢するための「賞品」。
拒んでも無駄なんですよ。
下手すると無理矢理にやられてしまう。
だから、ましな強い男の庇護にいるしかなく、結果ヤンキーの集団に仲間入りするのだそうです。
ものすごく、業が深い。
もはや本人の意思と関係ないじゃないですか。
自分の境遇を受け入れるためには、おのれの価値観を合わせるしかありません。基準点を変質させて、そこにいるのが自分のためだとあきらめるしかないのでしょう。
狭くて不自由な境遇から逃れるには、広く大きく見える芸能界で成り上がる方法しかなかったのかもしれません。
両親が資産を持っていれば、守れる環境(安全な学校)に入れることもできますが、頭の出来が悪くて底辺高(そこに入る学力しかない理由も家庭環境のせい)だとなると、なるべくしてなることなのでしょうね。
芸能界での裏事情で、一説にはCDと握手券チケット抱き合わせ商売を始めた某有名男性が、一般人風のアイドル複数集団で芸能界を席巻するまでは自浄作用が働かず、裏社会(ヤクザ)が牛耳っていたと聞きます。
男女新人アイドルを売るのに、抱き合わせで関係者に枕営業の接待が当然のように行われていた、なんて噂もあったほどです。
キラキラした見かけに反して、きったねえ世界だなぁ……生きるのも壮絶な時代だったんだろうなぁ。
昨今話題になるジャニ◯ズの男性性被害も、あの時代からワンマン社長で芸能界のトップを采配してきて、あの頃の裏社会構図から脱却できずにきたんだろうな、と想像できるんですけどね。
家族経営のワンマン会社は他人の意見が通らず、そのうち世の中の流れに置いていかれて、時代錯誤でヤバイことになりがちなんでしょうかね。
その後、芸能界に一般人が大量に流入してきたため、新しい事務所も多くなって裏社会とのつながりが希薄になり、次第に現在のようにクリーンになったと聞いたことがあります。
多数の人間から受ける評価を、頭と体で思い知っている本人からすれば、本当に中身を見てくれているのだろうか、と疑いたくもなるものでしょう。
だからこそ、真実を受け入れてくれた異性のみてくれなんて、関係なくなるんでしょうけどね。
美しいひとが、疑問に思うほどの外見の相手を選んで、結婚することがあります。
なぜ、の理由がここにあります。
相手をまっすぐに見て、幸せそうに笑える理由。
なのに、
「冴えないあいつがあんな綺麗な相手といっしょになれたんだから、(俺・私)にだってチャンスはあるはずだ!」
「なんであいつに結婚できて、(俺・私)はできないんだ!!!」
って、短絡的に思う人間が、いかにたくさんいることか。
さて、そんな単細胞を相手に、美しいひとは見向きをするものでしょうか。
ここまで読んでくださった聡明な読者の方々は、当然お分かりになりますよね???
まあ、もちろん外見、内面以外に、ずば抜けた実技能力とか、人心を掌握する話力とか、とんでもない資産を持ってるとか、付加価値はあるんでしょうけどね。
凡人はただ、着実に努力するしかないんだろうな。
続きます。
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