目に針を刺して、動かしちゃったら…?

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目に針を刺して、動かしちゃったら…?

前回の続きです。 さて、目に注射針を刺して、「動かしたら失明しますよ!!!」と眼科医に叫ばれ続けたわけですが。 毎度毎度、恐怖に耐えているとですね、慣れるかというとそういうこともなくてですね。 むしろ、怖いものだから平静でいられない。身構えちゃうんですよね。 動かすな、って言われても無理なもんは無理でして。 刺された直後に『ちょっと』動かしちゃったわけですよ。 まあ、運良く失明はせずに済んだんですが。 そうしたら、白目の結膜下に出血を起こしまして。 結膜の下には毛細血管が走ってるんですけど、そこを注射針で傷つけたようで、たしか左目だったと記憶してるんですけど黒目を残して、白目部分がまさに血の色に染まりました。 なんか既視感あるなーと思ったら、アレです。 アニメ「鬼滅の刃」に出てくる十二鬼月、下弦の伍である「累」ですね。 まさにアレ。白目の部分が真っ赤。 今だったらソフトコンタクトレンズしなくてもそのままコスプレでイケるじゃん(笑)、なんて冗談も飛ばせるんですけどね、当時はまだコンタクトレンズと言えばハードが主流で、ソフトレンズの特殊なものなんてハリウッドでもようやく出回り始めた頃。素材的に長時間つけるのは不可能な時代だったんですよね。 つまり、そんな目してるやつはまずおらんかったわけです。(いまでもそうそう見かけないですけど) とはいえ、見た目が変なだけで、本人はまったく無症状。 痛くも痒くもないし、日常生活にも無問題。 いまでも忘れられない光景があります。 自分は、白いセーラー服を着た(図体のデカイ)女子高生。 阪急電車で通学中、朝のホームで正面を歩いていたサラリーマンが顔を上げ、ふとこちらを見た、 その表情。 ふつうのお父さん風サラリーマンが私の全体を見て、顔を見て、ぎゅっと絞られるように目線が合って、 急激に、その両目に強い怯えの色が浮きました。 ——?! 驚きました。なんというか、意外だったんですよ。 こちらはなんの害意もないのに、恐怖されるってことに。 そのうえ、その人は回れ右をして、小走りで遠くの車両に乗り込みました。 私の左目が気味悪かったんでしょうね。 こちらとしては、この状態がずっと続くわけでもなかったので何の気もなしに「あの人、えらい慌ててたなー」と流してしまったんですけど。 学校で「なんかこの目で、出会い頭におっちゃんにえっらいビックリされてん」と友達に話して、笑ったような記憶もあります。 実際、赤い目でいたのは1ヶ月くらいでした。 結膜に広がった血液はちょっとだけ赤黒くなって、次第に白目に吸収されていって、そのうちきれいに元通りの白目になりました。 もし、一生赤い目でいたら——。 「ああ、あれが異様なものに対する、あからさまな反応なんだろうな」とあとから思ったわけです。 突然、本当に思いがけなく妙なものに出くわすと、人間ってこんな反応するんだなー。そんなふうに感じた体験でした。 おっちゃんも、もしかしたら後から「悪いことしたなー」と思ったかもしれないですけどね。 それとも、「すっごい目をした女子高生いて、気色悪かったわー」と家族に話したりしたのかな。 んもー、失礼しちゃうわぁ。(笑) ちなみに結膜下出血は、年齢上がると重いもの持っていきんだりすると、毛細血管がプチッて切れてなったりすることがあるようです。 とくに治療する必要もなく、放っておいたら治るんですけどね。
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