3.好きなんだからしょうがない。

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3.好きなんだからしょうがない。

 んごぉ、んごぉ、と豪快ないびきをたてて小さなテレビ台とローテーブルの間で大の字で寝ている男。  申し訳程度に片足に引っかかった薄手の布団、ライトグレーのスウェットからは僅かに肌色が覗いている。  その足元に、静かに忍び寄る影が一つ……。 「ん〜……」  平はふわりとした重みに顔を顰め、寝返りをしようと身体をよじる。  しかし思うように動きが取れず、どこからか聞こえてくる声が次第に大きくなるとようやく瞼を持ち上げた。 「あ、キョウヘイ、おはよう」  最初に耳についたのは、無邪気で高い声。  平は徐に上体を起こし、名前を呼ぶ方を見る。そうしてぼやけた視界がピンク色の輪郭を認めると、数時間前に起きたことを思い出した。  ――そうだ、確かお嬢ちゃんを保護して……。  状況を整理する平の思考が、一時停止する。  膝上にまたがるようにして乗っている少女が、あらぬ姿をしていたからだ。  頼りなく羽織られた白い布、ボタンはほとんど留まっておらず、控えめながらも女性を証明する谷間とともに透けた下着がチラついて見える。  さらに愛莉は上目遣いを武器に、身を乗り出して平に迫った。   「ねえね……これ、どう?」 「……なにやってんだ、腹壊すぞ」 「そうなの、最近涼しくなってきたからーってそうじゃない!」  頭をボリボリ掻きながら見当違いなことを言われ、愛莉は思わずノリツッコミをしてしまう。
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