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「なんなのその反応、男の人ってこういうの好きでしょ!?」
「ていうか俺、熟女好きだし」
「は――!?」
大人の男はみんな若い女の子が好きだと思い込んでいた愛莉は衝撃を受けた。
せっかくわざわざ早起きして、クローゼットの中から綺麗めなワイシャツを選んで仕込みまでしたのに。
興奮することは愚か、少しの動揺すら見せない平に愛莉は恥ずかしいやら腹が立つやら、振り上げた腕を下ろせないような心境になった。
「な、なによ、おばさんなんてシワシワのくしゃくしゃで張りもないしつまんないでしょ!」
「んなこと言ったら俺だっておじさんだろうが」
「キョウヘイはいいの、特別だから。……だって好きになっちゃったんだもん」
愛莉にしては一大決心で想いを告げたのだが、肝心な平は両手で耳を塞ぎ、無の表情をしていた。
「ちょっと、ふざけてないでちゃんと聞いてよ!」
真っ赤な顔でポカスカ叩いてくる愛莉に、平は手を下ろすと深いため息をついた。
「……あのなぁ、愛莉ちゃん? 一体俺を何歳だと思ってるわけ?」
「知らないけど、たぶん三十くらいでしょ?」
「正解、三十二歳。で、愛莉ちゃんは十七歳。つまり、十五も離れてるわけでだな」
「あ、でも私誕生日まだだから今年十八だよ」
「そうか、俺はもう終わったからじゃあ十四歳差……ってそこはもう、一つくらい違っても変わらんだろ」
平の言いたいことがわからない愛莉は、不思議そうに首を傾げ答えるだけだ。
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