3.好きなんだからしょうがない。

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「歳の差がどうしたの?」 「どうしたもこうしたもないだろ、干支一周以上回っちまうんだぞ! おまけにまだ未成年とか」 「十六歳から結婚できるんだし別にいいじゃん」 「そういう問題じゃないの!」  平はあきれたように言いながら立ち上がると、あずきのゲージを開いて朝食の用意をする。  おやつを出したのと同じキッチンの棚から大きめの袋を取り出し、円形の銀皿に茶色い粒を注ぐ。あずきはいい子に「待て」を聞き、「よし」と言われて初めて餌に口をつけた。カリカリと乾いた音が愛莉にもよく聞こえる。 「あー、やべっ、もうこんな時間か」  平は充電器と繋がっていたシルバーのスマートフォンを拾い上げると、若干の焦りを見せた。  アラームを設定し忘れていたことに気づくと、起こしてくれた愛莉の夜這い……朝這いに少し感謝する。  急ぎ足で和室の襖を閉め着替えようとすると、その隙間からちゃっかり視線を感じた。   「こーらー、覗くなっての、警察呼ぶぞ」 「自分じゃん」  ぷくく、と悪戯っぽく笑う愛莉に注意を促す平。この家には玄関以外に鍵がないため、仕方なく背面を向け手早くことを済ませる。  ――まったく、俺の生着替えなんか見てなにが楽しいんだか。  性格はさて置き、文句なしの美少女である愛莉にここまで懐かれる理由が平にはわからなかった。  いくら助けたとはいえ、それは職務上当たり前のこと。  あまり深く関わっては互いのためにならないだろう。過去の経験からそう感じた平は愛莉の処遇を思案していた。
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