17.両想いなんだからしょうがない。

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 その後、平に言われた通り、愛莉は今までと変わらず別の布団に収まった。  畳に距離を取って並べられた二組。  冷え込みに合わせて羽毛布団が出されている。  もこもこした寝具に埋もれるようにして、すやすや寝息を立てる愛莉。  その隣にいた平は、身体は疲れているはずなのにちっとも眠気がやってこなかった。  暗がりの中、敷布団の上にあぐらをかく平の手元が、ぼんやりとした光を纏う。  今の時代、簡単に調べられる手段がある。  それを知っていれば、やらずにはいられないだろう。  気になるキーワードを打ち込む。『疲れやすい』や『初潮がない』などから弾き出された画面に人差し指を滑らせる。  大したことがない結果の方が多いはずなのに、目はなぜか悪い方ばかり追ってしまう。  生まれつきの疾患や重篤な病。  その詳細を確かめては症状の違いを探す。  ――こんなことしたって、どうしようもねえ。  平は一つ息をつくと、検査をしてくれそうな病院を見つけて電源を落とした。  余計なことを考えないように、暗転したシルバーのスマートフォンが床に投げ出される。  少し離れた横で気持ちよさそうに眠る愛莉。  頬にかかる髪を手の甲で撫でるように避けると、現れた白い肌に唇を落とす。  なにがあってもこの安らかな表情を守ると誓いながら。
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