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「しかもなんかいい匂いしますね、甘酸っぱい果物みたいな、若い女の子って感じの」
「寝起きの髪のまま行くのはダメなんだとさ」
「そりゃそうですよ、男たるもの、清潔感も大事にしないと。僕も髪には気を使ってますから!」
見せびらかすように、サラサラのおかっぱヘアーを手で掻き上げポーズを取ってみせる倫太郎。肌のケアなどにもかなり金をかけているらしい。モテ期は未だに到来しないが、それでも折れない精神は長所かもしれない。
「でもあの子、キョウヘイさんに懐いてたっぽいじゃないですか? もしかして恋に発展したり……」
「まあ、好きだとは言われたけどな」
「そうですか、やっぱり――ええっ、もう!?」
どんぐり目を落っことしそうな勢いで平を見る倫太郎。
しかし報告はここまでだ。さすがにワイシャツ一枚で起こされたことは黙っておく。
「いいなぁ、あんな可愛くて若い子に……」
「こーら、それ問題発言、未成年をそういう目で見ない」
「そうですけどぉ、ちゃんと真面目に付き合うならいいんじゃないんですか? その辺の汚いおっさんならいざ知らず、キョウヘイさんなら若い女の子と歩いてても違和感ないですって」
平は無言の真顔でカタカタとパソコンを操作し、なにやら怪しげなサイトにアクセスしている。
「キョウヘイさんがフリーってもったいないですよ。それに決まった相手見つけた方が、警視監からの誘いも断りやすくていいんじゃないですか?」
「なんの話だ」
突然降って沸いた背後の声に、振り向いた倫太郎は飛び跳ねて驚いた。
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